どこからが名誉毀損?SNSでのトラブル事例、訴え方ご紹介。
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- 誹謗中傷
インターネットの発達に伴い、個人で情報に触れる機会が増加しています。
同時に不快な情報に触れてしまい、批判や誹謗中傷につながっていっています。
この記事では、SNSでの誹謗中傷されて
「これって名誉毀損で訴えられるのでは?」という事例や相手方へ訴える流れを踏まえてご紹介します。
悩んでいる方にむけて、具体的な名誉毀損された際の相談窓口も併せてご紹介しているので、ぜひご参考下さい。
なぜ、SNSでの誹謗中傷が増えているのか?
近年、インターネットの発展に伴って、ネット上書き込みでの攻撃される事例の増加の傾向です。
主に下記のような
- 人の外見の侮辱
- 虚偽の情報を公開
- プライバシーの情報を無断で公開
- 脅迫によるいじめ
が年代問わずに発生しており社会問題になっています。
自身の顔を特定されずに書き込みができる匿名性が誘発させている原因ではないかと言われています。
SNSを使った実際にあった名誉毀損 5選
ママ友間でのトラブル
子供が育つにあたり、ママ友とは育児の大変さを共有できる貴重なコミュニティです。
SNSの発達に連絡を取ることができるため、気軽に関係を構築しやすいでしょう。
しかし、そんなママ友内での嫉妬や妬みから誹謗中傷や悪口をSNSに書き込み、名誉毀損になってしまう問題も発生しています。
以下のように
- PTA(仕事で参加できないなど)
- 行事(バザーなど)
- 習い事(団体競技での当番など)
- ママ友派閥(グループごとの嫉妬)
子供の環境が変わるごとに親御同士でどんどんと付き合いが増えていくでしょう。
そんな中、起こった一例をご紹介します。
ママ友内でのグループ投稿がきっかけ
実際に子供の習い事がきっかけで親御内でSNSグループを作成することとなりました。
ある母親が「●●くんのお母さんは習い事のコーチと不倫している」と虚偽の投稿してきました。
被害を受けた母親がその投稿をした方へ名誉毀損と侮辱で内容証明を送ったことで、投稿した本人が焦り投稿がすべて削除され示談となるケースが発生しています。
たとえ示談となったとしても、親同士の関係修復が難しくなり子供の関係にも影響してしまいます。
職場内SNS
企業では
- プライベートと仕事の区別
- 機密情報漏洩防止
- 内定者の意欲向上
- 内定者同士の一体感
等の観点から独自のSNSを構築することが増えています。
その利便性から新卒の内定者との交流にも有効活用されています。
しかし、昨今人事担当と内定者のみのグループで外に見えないことなどから問題として挙げられています。
就職の内定者内でのグループSNS
内定SNS内で人事担当が内定者を罵倒し続け、その結1人の内定者が入社式前に自殺をしてしまうケースが発生しました。
入社する前から、人事担当と内定者の間で上下関係が生まれており、
「毎日投稿しない人はグループから排除する」
「海外旅行いくなんて、空気読めているか?」
など攻撃的な投稿から結果として謝罪、損害賠償請求となりました。
飲食店などの口コミサイト
レストランの評判を見る際に口コミサイト、またはInstagramなどのSNS で記事を増加しています。
実際に現在では下記のように多くの方々が購入する際に、
InstagramやYoutubeなどのSNSを参考にしていることが伺えます。
そんな多くの方が見るSNSの口コミで「まずい」「ぼったくり」などつぶやかれることが起きるとしましょう。
お店の客足に大きく影響するであろうことは間違いないですよね。
口コミサイトへ虚偽の内容投稿
とあるラーメン屋の口コミを自身のFacebookにて投稿していました。
その際に「業務用スープを使っている」「反社会的勢力とつながっている」などの虚偽の口コミを上げ続けていました。
口コミは1年以上継続され、口コミを見て客足が離れる等売り上げにも影響していました。
その後、店側が損害賠償請求を行い投稿していた犯人に名誉毀損として、慰謝料11万円が命じられました。
虚偽の情報であれば、信用毀損罪の可能性も
「異物混入している」など虚偽の情報をSNSでコメントされてしまい、売り上げが下がった場合、名誉毀損や部錠剤とは違った信用毀損罪に問われる可能性もあります。
偽りの情報や人をだます行為によって、相手方に経済的損害が与えられれば信用毀損罪が成立します。
なりすましの投稿
Twitterなどで一般人や有名人のなりすましによって、損害を受けるケースもあります。
本人に成り代わり、虚偽の投稿をすることで、名誉毀損罪へなる可能性が高くなります。
同級生へなりすまし、悪質な投稿を重ねる
2019年に、同じ高校生の同級生になりすまし、Twitterで卑猥な内容や薬物使用者をイメージさせる投稿していました。
一時期、約100万人のフォロワーとなっており、多くの人の目にさらされていました。
結果、共同でアカウントを管理していた2名に対して慰謝料55万円の支払いが命じられました。
2人のうち、1人は自分は関係ないとしらを切りましたが、知りながら投稿を放置していたということで同じく支払いとなりました。
Twitter運営に削除依頼可能
Twitterでは、元々なりすましの投稿は禁止されています。
すぐに削除依頼をしたい場合は、下記のリンクから依頼できるのでご活用ください。
Twitter なりすましアカウントへの削除依頼フォーマット
念のために、証拠として投稿の画像をスクリーンショット撮影しておくのも手でしょう。
Twitterの使用者情報には期限がある。
なりすまし行為を行った投稿者の特定に必要な情報(インターネットサービスプロバイダが記録しているIPアドレスと契約者情報の対応関係に関する情報)は、永続的に保存されません。
一般的には3ヶ月から6ヶ月程度が保存期間のおおよその目安です。
この期間を過ぎるとIPアドレスの開示を受けたとしても、情報をもとに契約者情報を取得できず、投稿者の特定ができなくなるので要注意です。
有名人への誹謗中傷
有名人や著名人への誹謗中傷はいつの時代も問題になっています。
リアリティ番組の出演者のふるまいを見て、「気持ち悪い」「早く消えろ」などのインターネット上での誹謗中傷が絶えず、結果として自殺につながってしまいました。
母親より告訴を受けた警視庁は、自殺されたかたのスマホのネット閲覧履歴などを復元し、約600アカウントによる約1200件の投稿を精査したうえで、大阪府に住む男性を特定しました。
「有名税だから」「その分稼いでいるから」などといって、誹謗中傷が認められることはありません。
多くの場合、侮辱罪か名誉毀損罪に問われることとなります。
有名人への攻撃な投稿
タレント兼実業家の女性に対し、インターネット掲示板に自身や家族に対する誹謗中傷の書き込みを行っていた女性2人が侮辱罪で書類送検されました。
「匿名性故にばれない」、「他の人がやっているから」と1年以上攻撃な投稿を繰り返していました。
IPアドレスの開示請求することにより、匿名においても個人情報は簡単にわかるようになっています。
悩んだ際の相談窓口
これまで紹介してきた事例ですがもし自身が誹謗中傷などに悩みを抱えていれば、国、自治体によって相談窓口があります。
ぜひ有効活用していきましょう。
まもろうよ こころ
「一人で抱え込むのはつらい」「誰にも相談できない」
そのような悩みを抱えているのであれば、厚生労働省が行っている まもろうよ こころという相談窓口があります。
電話かもしくはLINEなどでやり取り可能で気軽に相談することが可能です。
違法・有害情報相談センター
- 誹謗中傷をネット上でされた
- 今後の対応方法を専門家と相談したい
ネットトラブルに関して、相談窓口として総務省が管理している違法・情報有害センターがあります。
ネットトラブルに精通した専門家が相談に対応頂き、悩んでいることに対して今後の相談方法やアドバイスをもらえます。
問題対処するにあたり、何をしなければならないか。これを確認するにはいいでしょう。
人権相談窓口
- 誹謗中傷投稿の削除依頼方法を知りたい
- 削除依頼をお願いしたい
誹謗中傷されている投稿を削除したい場合には、法務省が管理している人権相談窓口に相談が可能です。
実際に法務局職員に相談となり、
の内容によって、対応してもらうことが可能です。
本人に代わり、国の機関から掲載されているサイトに削除要請を行うので安心ですね。
誹謗中傷ホットライン
- プロバイダへの連絡してほしい
- 海外からの名誉毀損投稿を削除依頼をしてほしい
「誹謗中傷ホットライン」では国内外問わずに無料でサイトなどに削除依頼対応をしてもらうことが可能です。
国内のみならず、海外のサイトに無断で自身の画像等を流用されてしまうケースも増えています。
そのような場合、日本語で対応可能な箇所は多くありません。
名誉毀損で損害賠償請求の流れ
インターネット内で名誉毀損されるような投稿をされた場合、相手方へ損害賠償請求を行うことができます。
相手の特定から実際の慰謝料受け取りまでの流れをご紹介します。
犯人特定
まずは、誹謗中傷を行ってきた犯人を特定する必要があります。
- サイトの管理者へ連絡し、投稿者の情報開示を依頼
- 開示された情報から、プロバイダ特定する
プロバイダが特定されれば、犯人が使用している「指名」「住所」「アドレス」などを特定し連絡可能となります。
内容証明郵便を送る
差出人と受取人ともに内容が残る「内容証明郵便」を発送し、請求を送ることができます。
内容が残ることで、相手に確実に送付することができ、
- 犯人へ裁判のプレッシャーを与える
- 謝罪の気持ちを確かめる
文書でおくられてくることで、問題の大きさへ気づいていくでしょう。
示談交渉
内容証明郵便を送付すると、通常相手側から返答があり交渉となります。
- 示談金を支払う
- 相手からの謝罪
- 記事の削除、訂正記事の投稿
両社間で内容のすり合わせを行います。
ここで内容がまとまれば、示談書を作成します。
賠償金 支払い
示談がまとまれば、示談金を受け取ります。
示談や慰謝料支払いがまとまらなければ、民事訴訟の流れとなります。
損害賠償請求の必要費用について
実際に訴えるまでの流れをご紹介してまいりましたが、
「名誉毀損で訴える際に必要な弁護士費用はいくらか?」情報開示必要な場合と合わせて紹介します。
相手方が特定されている場合
弁護士着手金 | 10万円から30万円 |
報酬金 | 慰謝料の15%から20% |
相手方が不明(IPアドレス開示必要な場合)
弁護士着手金 | 20万円から30万円 |
報酬金 | 20万から30万 |
IPアドレスの開示請求には、別途手続きが必要です。
開示請求は裁判所での手続きとなるので、弁護士経由で行われる場合がほとんどです。
開示請求は通常4か月から6か月程度必要です。
なので、弁護士依頼から慰謝料請求までかかるのは1年程度かかると考えておいた方がいいでしょう。
加害者への裁判費用の請求は可能か
加害者へかかった裁判費用の請求は可能ですが、確実に支払われるとは言えません。
裁判官次第であるので、事前に自身のケースを弁護士と話をして確認をしておくといいでしょう。
弁護士費用 分割支払い
「弁護士に頼むお金がない」
「IPアドレスの保管にも制限があるため、早く動きたい。」
弁護士にお願いしたいが、費用が高くてすぐには準備ができないケースもあるでしょう。
そんな方は、一度法テラスへの相談をご紹介します。
必要経費を立て替えてもらい、分割でその後支払いを行っていく制度です。ぜひご参考ください。
慰謝料の相場
名誉毀損罪、侮辱罪で訴えた際の慰謝料の相場として、
名誉毀損罪の場合 | 10万円から50万円程度 |
侮辱罪の場合 | 1万から10万程度 |
が相場となります。
誹謗中傷が虚偽の場合、被害者が一般ではなく事業主の場合は相場よりも高額請求する事例も多いです。
弁護士費用と慰謝料を比較すると、被害者が金額を多く受け取ることは困難でしょう。
あくまでも、金額ではなく名誉の回復を目的として損害賠償請求を行われています。
示談金が高額となった事例
匿名口コミサイトでの誹謗中傷
ホストクラブ情報が記載されている匿名掲示板にて、度重なる悪意ある書き込みが行われていました。
営業支障、誹謗中傷にあたるということから、加害者の情報開示請求で犯人特定し損害賠償請求を実施。
複数の加害者が特定され、和解書を締結、合計150万円の支払いとなりました。
芸能人の個人情報を流出
誹謗中傷を受けた芸能人の個人情報を流出し、損害賠償請求となったケースです。
情報開示請求を行い、5人の犯人が特定され、損害賠償150万円発生しています。
SNS内ではコミュニティ、グループが多く作成されますがその中で匿名性故に攻撃的な投稿が多くみられています。
名前がなくとも、個人情報はすぐにわかってしまう危険を忘れずに覚えておきましょう。
まとめ
この記事を通して、「どこからが名誉毀損になるのか」実例を通してご紹介させていただきました。
しかし、その人によって心情や状況は大きく異なるでしょう。
- まずは必要機関へ相談
- 知らない人なら情報の保管期限があるため、相談は早めに
- 慰謝料でお金を大量に得ることは難しいのが現状
ということをぜひ気を付けていただければ幸いです。
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