事業拡大・利益向上に欠かせないブランドロイヤルティとは?|基礎から成功ポイントまで
brandpr
- ブランディング/PR
「ブランドロイヤルティ」は、事業拡大や利益向上を目指すためには不可欠な要素です。
マーケティング戦略や販促業務においても、自社のブランドロイヤルティを高めることが最重要課題となります。
では、ブランドロイヤルティを高めるためにはどのようにすれば良いのでしょうか。
ここでは、ブランドロイヤルティの基本からブランドロイヤルティがもたらすメリットや成功ポイントについて解説します。
【ブランドロイヤルティ】用語解釈
ブランドロイヤルティとは、ある特定のブランドに対する消費者の支持率のことで、日本語では「銘柄支持率」と訳すのが妥当でしょう。
消費者が商品やサービスを購入する際、同じブランドのものを繰り返し購入することを意味します。
そうした消費者の支持率が高いブランドは、ブランドロイヤルティが高いと言えます。
解説
少子高齢化社会の日本において、新規顧客を得ることは、年を追うごとに益々困難になっています。
そうした状況で重要なのが、リピーターを増やし、企業のブランドロイヤルティを高めることです。
自社のリピーターを増やせば、新規顧客を得るよりも低コストで利益を上げることが可能になります。
ちなみにロイヤルティはロイヤリティとしばしば混同されますが、ここでは「ロイヤルティ=企業やブランドへの愛着心」、「ロイヤリティ=ライセンスや著作権使用料など、権利者へ支払う対価」と意味付け、ロイヤルティで統一して話を進めていきます。
「ブランドロイヤルティ」「顧客ロイヤルティ」「顧客満足度」の違い
ブランドロイヤルティと似た言葉として「顧客ロイヤルティ」や「顧客満足度」があります。
それぞれ微妙に意味するものが違うので注意が必要です。
まず、ブランドロイヤルティは特定のブランドに対する支持率を示します。
それに対して顧客ロイヤルティは、そのブランドを提供する企業に対しての支持率を指します。
また、顧客満足度は「商品やサービスに対して顧客が満足しているか」を示す指標となります。
顧客満足度が高いからといって、必ずしもブランドや企業に対して支持率が高いとは言い切れません。
ブランドロイヤルティのメリット
ここでは、ブランドロイヤルティがUPすることで得られる具体的なメリットについて解説します。
リピーターの増加
顧客に寄り添い高品質の商品やサービスを提供することで、ブランドロイヤルティを高められます。顧客はブランドの有用性を強く感じるようになります。
そうなると他のブランドを試してみる必要性を感じなくなります。
そして、その顧客は同じブランドの商品のリピーターとなり何度も選ばれるでしょう。
リピーターが増えれば、新しい顧客に対して商品やサービスを営業する手間をかけず、安定的に顧客を維持できます。
顧客単価の増加
顧客のブランドロイヤルティが高まると、顧客単価も増加する可能性があります。
ひとつのブランドに強い愛着を持ったなら、そのブランドを提供する企業が販売している他の商品やサービスに対しても好意的に捉えやすくなるからです。
特に、各々の顧客ニーズに適した商品やサービスを紹介すると、関心を持ってもらえる可能性は一層高くなります。そのためにも、顧客のニーズを正確に把握することは重要です。
宣伝費等のコストの低下
既存の顧客のブランドロイヤルティが高まると、商品やサービスを購入してくれるので、売上向上のため新たな広告を出稿する必要がなくなります。
リピーターが増えると顧客単価が上がること同時に宣伝費等のコスト削減にもつながります。
ブランドロイヤルティの高い顧客がブランドのよさを周囲に広めてくれるケースもあります。
よい口コミが広まれば、広告を打つよりも高い宣伝効果が得られます。
ブランドロイヤルティが高まるポイント
ブランドロイヤルティを上手く活用するには、ブランドロイヤルティが高まる仕組みについて理解しておくことが大切です。
ブランドへの親近感や愛着心
ブランドロイヤルティを高めるためには、ブランドに対する親近感や愛着心を高めることが大切です。
そのためには、顧客のブランドに対する思い入れを高める必要があります。顧客がブランドに対して強い感情移入し、そのブランドを選ばざるを得ない構図を作り上げることが肝心です。
商品やサービスのデザインや性能だけでなく、イメージや顧客対応も考慮する必要があります。
口コミやファンコミュニティの形成
ブランドロイヤルティは、すでに商品やサービスを利用している顧客によって形成されると言っても過言ではありません。
ブランドロイヤルティの高い顧客は、口コミで周囲の人に商品やサービスを勧めることもよくある話です。
また、ブランドのファンコミュニティが形成されると、ブランドロイヤルティが強化されるものです。
ファンコミュニティでは参加者同士の仲間意識が芽生えたり、情報の共有が進んだりと、自然とブランドに対する支持率も高まります。
商品やサービスのシリーズ化
商品やサービスをシリーズ化することで、顧客のブランドロイヤルティを高めることができます。
「お気に入りのシリーズで統一したい」「同じアイテムの新バージョンが欲しい」という顧客ニーズに応えることで、安定した利益を獲得することができます。
人間は接触回数が多いものに親近感を持つと言われています。
商品やサービスのシリーズ化は、心理学における「単純接触効果」を利用した手法が有効です。
ブランドロイヤルティの測り方
ブランドロイヤルティは顧客にアンケートを取ることで計ることができます。具体的には、推奨率「NPS®」という指標を用いて計るのが一般的です。NPS®は「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略で、該当する商品やサービスを家族や友人、同僚など周囲に勧めたいかどうかの評価をアンケートで調査します。
NPS® でブランドロイヤルティを計れば数値で結果が分かるため、過去の結果や他社の状況と比較しやすいというメリットもあります。
(※ここからはNPSで表示します)
NPSの算出方法
具体的には、顧客に自社、あるいは自社の商品・サービスを家族や友人、同僚へ薦める可能性はどのくらいあるか? という質問を0~10の11段階で評価してもらいます。
そして0~6は批判者、7・8は中立者、9・10は推奨者です。そして推奨者の割合(%)から批判者の割合(%)を引いたものがNPSの数字となり、この数字が高ければ高いほど、その企業はブランドロイヤルティが高い企業ということになります。
NPSは(質問が)シンプルで計測も容易、他社との比較も簡単にできる、今後の収益性との関連性が高いというメリットもあります。
ですが、簡単とはいうものの過去のデータとの比較やアンケートの活用など、総合的判断が必要となります。
ヒアリングと分析を行って、顧客から現状どのくらいのロイヤルティを取得できているのかを把握し、改善すべきポイントを見つけることができれば、より顧客に寄り添った商品やサービス、サポートの提供が可能となります。
またコスト戦略の面でも、リピート顧客の中でブランドロイヤルティを感じている顧客の数が知ることができれば、新規顧客を獲得する為のより正確な投資金額を予測することも可能となるでしょう。
NPSと顧客満足度の違い
NPSは業績との連動性がある
顧客満足度は商品・サービスに対する満足度をたずねるものです。
しかし、その「満足」の度合いは顧客によって違いがあり、満足だと評価したとしても、他社の商品にシフトされたりリピート購入に繋がらなかったりする場合も多々あります。
一方、NPSは業績との連動性が高く、高得点をつけた顧客はリピート購入をするなど業績アップに貢献してくれるとされています。
NPSは過去から未来への質問
顧客満足度は、過去や現時点において「商品・サービスに満足しているか」をたずねる質問です。
一方、NPSは「今後この商品・サービスを他者に紹介するか」を問う質問です。
顧客満足度では未来のことについて予測できないのに対し、NPSでは未来の顧客の行動についても計測できます。
NPSは回答者以外も対象
顧客満足度は、回答者本人のみを対象としたものです。
一方、NPSは家族や友人に紹介するかをたずねるため、回答者以外のユーザーも関係します。
NPSを導入するメリット
ここでは、NPSを導入するメリットを紹介します。
回答が得やすい
NPSは点数をつけるだけの簡単な質問であるため、回答を求めやすいという特徴があります。
計測が簡単で分かりやすい
簡単に計測でき、ハッキリとした数値が出るので理解しやすく、数値の出し方も決まっているので、誰でも容易に集計できます。
競合他社と比較できる
同じ質問で回答を得るため、競合他社と簡単に比較できます。
そして何より、世界中の企業が導入しているため、自社の立ち位置を知ることに効果的です。
また、各業界の NPSは、インターネットで検索すれば確認することもできます。
客観的な数値を知りたい時に活用ください。
経営分析に利用できる
NPSは業績との連動性が高いため、経営分析にも効果的です。
顧客接点が多いシーンで効果を発揮し、広告の効果測定などにも利用可能です。
最近では NPS に特化したツールやアプリ、システムを開発・導入する企業も増えています。
NPS調査の種類
NPS調査は大きく分けて 3 種類ありますので、以下で詳しく説明していきます。
リレーション調査(R-NPS)
リレーション調査は、顧客が企業やブランドについて総合的にどのような評価をしているのかを調べる方法です。
顧客の年間を通した商品・サービスの購入や利用に対して、満足度を評価してもらいます。
直接的にしろ間接的にしろ、すべての顧客接点が対象です。
NPSと各顧客接点を総合的に評価することで、「どのような体験が顧客を満足させているのか」を導き出します。
年間を通した総評ということで、半年か 1 年に 1 度、質問数は 20 問~ 25 問ほどにするのが一般的です。
なぜなら、質問数が多くなりすぎると、回答率が低下するため調査に必要な回答数が集まらないためです。
トランザクション調査(T-NPS)
トランザクション調査は、サービス内の重要な顧客接点ごとに評価する方法です。
たとえば、商品の購入や使用・来店・ウェブサイトへのアクセスなど、重要な顧客体験の直後に行います。
電話やメールでの問い合わせ・店舗での購入・セミナー参加時などにも同様に行います。
顧客接点ごとの改善点を明確にすることを目的とし、PDCA サイクルを効果的に運用していくための指標としても活用できます。
日次・週次・月次という短い周期で行うことが望ましいので、5 問~ 10 問ほどの質問数が最適です。
そして、質問内容は簡単なものにすることが大切です。
従業員への調査(E-NPS)
E-NPSは、従業員ロイヤルティを数値化する調査方法です。
「あなたはこの職場を誰かに紹介したいですか」という質問の回答を得ることで、職場への信頼度・関心度が測定できます。
高ければ高いほど離職率が低く、従業員の貢献意欲も高いとされています。
この質問に加えて、人間関係・福利厚生・上司との関係・仕事へのやりがいなどを、合わせて質問することも従業員ロイヤルティにおいては重要なポイントとなります。
従業員ロイヤルティに影響を与えている要因は、各項目の集計結果をみて確認できます。
E-NPSを改善することは、将来的に顧客ロイヤルティをも向上につなげます。
ブランドロイヤルティを高める4つの方法|NPS調査を利用して
ここではNPS調査を利用してブランドロイヤルティを高める方法を 4 つ紹介します。
顧客の意識を正確に把握する
ブランドロイヤルティを高めるためには、顧客の意見や感想を正確に把握することがポイントです。
座談会やユーザーインタビューなど顧客の生の声を聞く機会を設けて、率直な意識調査を心掛けましょう。
評判のよい商品やサービスについての顧客意識は、新しい商品やサービスの開発にも活かすことができます。
また、クレームの中にも商品やサービスを改善するためのヒントが隠されている可能性があるため、定期的なチェックや検討をおこなわなければなりません。
ニーズに合った商品やサービスの提供
ブランドロイヤルティの高い顧客を多く獲得するには、ニーズに合った商品やサービスを提供することがポイントです。
たとえ最新技術を取り入れた商品やサービスであったとしても、顧客のニーズに合っていなければ支持率を高めることはできません。
顧客が何を考え、何に期待して商品やサービスを利用するのかを考慮することが重要です。
そのためには、ターゲットとなる客層を分析することや、すでに高いブランドロイヤルティをもつ顧客に着眼することが大切です。
SNS などを活用した情報発信
ブランドロイヤルティを高めるための施策としては、活発な情報発信が効果的です。
特に、発売前の早い段階に商品やサービスについての告知をおこなえば、顧客の期待度を高めることが可能です。
SNS を活用すれば、情報を発信しながらリアルタイムで顧客の反応もチェックすることができます。
消費者と気軽にコミュニケーションを取れる方法として、率直な反応を把握するのにもSNSは役立ちます。
ポイントプログラムなどインセンティブの提供
インセンティブを提供する取り組みは、結果的にブランドロイヤルティの向上につながることもあります。
一般的な手法として「ポイントプログラム」があります。
商品の購入時や新しい顧客を紹介時にポイントを付与して、次回以降の買い物やサービスにポイントを利用して割引するといった方法です。
ただし、ポイントを貯めるだけで終わらないよう、常に顧客の目線に立ってニーズを分析することが重要です。
まとめ
ブランドロイヤルティの意味から具体的なメリットまで解説しました。ブランドロイヤルティをマーケティングに活かすには、まず NPS調査を実施して既存顧客のロイヤリティを正確に把握するところからはじめましょう。