リブランディングの失敗事例とは?失敗しないための方法を解説
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- ブランディング/PR
リブランディングとは企業のブランディングを大きく見直すチャレンジングな行為です。
この記事では、リブランディングの失敗事例を通じてリブランディングを成功させるための方法を解説。
リブランディングには成功事例ばかりでなく、失敗事例もたくさんあります。重要なのは、他社の失敗事例を教訓にして同じ失敗を繰り返さないことです。
リブランディングの失敗事例からリブラディングを成功させる方法を考えていきましょう。
現状の課題を明確にして、客観的なリブランディングを定義することが重要です。
リブランディングとは?
リブラディングとはブランディングを改めて企業のステークホルダー(利害関係者)からの見え方、思われ方を大きく変えることです。
ブランディングに「re」がついた言葉であることから、ブランド再生というニュアンスでも使われます。
過去に親しまれていたブランドを再生し、新しい時代や新しい顧客に対応することもリブランディングの目的です。
リブランディングの対象
リブランディングの対象は古くなったブランドです。
ブランドが古くなってしまった理由として挙げられるのが、時代や顧客層が変化してニーズが変わってしまうことが大きな要因です。
リブランディングにおいては、顧客のニーズを再度認識して時代に沿ったブランディングを行います。
具体的な手順としては、ブランドアイデンティティを定義して、市場内におけるブランドの立ち位置や強みを再認識することが挙げられます。
リブランディングの目的
リブランディングの目的は古くなったブランドを再生することです。
何らかの理由で現代の市場に対応できなくなったブランドを見直し、ブランドの再生を行います。
ただし、リブランディングはユーザー(顧客)のニーズを把握し、それに沿ったかたちで行わなければなりません。
企業の独りよがりでブランドを刷新しても、ユーザーがついてきてくれるとは言い難いのです。
失敗事例から見るリブランディング
リブランディングは成功ばかりだけでなく、失敗事例も多いです。
世界的に有名な大企業も過去にリブランディングに挑戦し、ユーザーからの不評を買ったという事例が少なくありません。
ここからは、「コカ・コーラ」「GAP」「トロピカーナ」の3社におけるリブランディングの失敗事例および失敗からの教訓を見ていきましょう。
コカ・コーラ
日本でもお馴染みのコーク飲料を販売しているコカ・コーラ社は1985年に「コカ・コーラ史上最大の過ち」といわれるほどの失敗をしています。こうした一連の計画はカンザス計画と呼ばれています。
当時のコカ・コーラ社はコーク飲料のシェアを他社に奪われ続けて危機的状況に陥っていました。
危機的状況を打開するため、コーク者のレシピを大幅に改良して発表したコーク飲料(ニュー・コーク)を販売したのですがこれが不評の嵐に。
不評だった理由は従来のコークに入っていたフレーバーを全て一新し、味がまったく変わってしまったことによるものです。
劇的な味の変化によって消費者は「昔の味を返せ」とクレームの嵐。結局、ニュー・コークは不評のため販売停止になり、従来のコカ・コーラ「コカ・コーラ・クラシック」としての人気が復活しました。
この事例はリブランディングの失敗事例としても有名で、この失敗事例からいくつかの教訓が生まれています。
コカ・コーラ社の失敗から学ぶ教訓
コカ・コーラ社のカンザス計画による失敗から学ぶ教訓はどんなものがあるでしょうか?
1つには、ユーザーの意見を無視したリブランディングを行ってはいけないこと。カンザス計画の例ではフレーバーを一新したことによってユーザーの反発を招き、新しいブランドは大不評になってしまいました。
もう1つは、既存のブランドも地道に守っていればユーザーはついてきてくれることです。カンザス計画ではニュー・コークは失敗に終わってしまいましたが、皮肉にも従来のコカコーラ・クラシックの味が見直されるきっかけになりました。
時勢の影響で多少の売上が落ちようとも、顧客とともに守り続けてきたブランドを大事にすれば自ずと顧客はついてきてくれるのです。
GAP
GAPはブランドロゴを刷新することでリブランディングを狙いましたが、刷新されたロゴが不評であるとして失敗に終わってしまった一例です。
2010年10月4日、GAPのアメリカ本社で突如ブランドロゴが刷新されました。
顧客に親しまれた青地に白抜き文字のロゴが突如、ブルーのブロックに黒文字が重なったデザインへ変更。
突然の発表にユーザー側からの反発は相当なもので、わずか数日でブランドロゴは従来の見慣れたロゴに戻ってしまいました。
「Gap」本国サイトのブランドロゴが、突然新しいデザインに変更されたのは10月4日。青地に白抜き文字のおなじみロゴから、ブルーの小さなブロックに黒文字(書体はヘルベチカ)が重なったデザインに変わった。しかし、多くのカスタマー達が新しいロゴに対し反対意見を持っており、ネット上で論争が起こっていた。「Gap」はこれを受け、6日夜に「新たにロゴデザインに関するクラウドソーシングプロジェクトを立ち上げる」といった内容のアナウンスと米Gap社長Marka Hansen(マーカ・ハンセン)のメッセージを発表したが、Facebook掲示板の反対意見は更に増加していった。
引用:FASHIONSNAP.COM
GAPの事例から、ユーザーの意見や嗜好を無視したデザイン変更はかえって反発を招くということが読み取れます。
ブランドは企業が独自に生み出したものではなく、顧客と共に作り上げてきたものであるということを忘れてはなりません。
トロピカーナ
オレンジジュースをはじめとする、、果実100%のフルーツジュースで知られるトロピカーナもブランドロゴの刷新で大きな失敗を経験しています。
2009年、トロピカーナはオレンジジュースのパッケージデザインを変更。
従来のオレンジにストローを刺したデザインからコップにオレンジジュースを注いだデザインへと刷新しました。
このパッケージ変更によるユーザーからの反発は売上の減少というかたちに表れました。
新デザインの発表から2ヶ月で売上は20%減少、売上高にして3000万ドルの減少を招いて大きな失敗を招いてしまいます。
企業と消費者のイメージ乖離
トロピカーナのリブランディングが失敗した理由に、企業と消費者のブランドイメージが乖離していたことが挙げられます。
リブランディングを狙ったトロピカーナ社はミニマルなロゴに刷新して消費者からの信頼獲得を画策。
しかし、消費者が抱くトロピカーナのブランドイメージはトロピカーナは高価だけど高品質なもの、というものでした。
高級感のあるオレンジのロゴから安っぽいオレンジジュースに見た目が変わったことで、消費者がトロピカーナに持つブランドイメージを損なってしまったというわけです。
リブランディングを失敗しないための方法
リブランディングを失敗しないためには、どのような点に注意すればいいでしょうか?
リブランディング成功の秘訣は顧客からの評価を客観視すること、デザインを重視することなどが挙げられます。
先に上げたリブランディングの失敗事例を踏まえ、以下の点に注目してみましょう。
- ブランディングの価値を明確にする
- ブランディングを客観視する
- 現状の課題を具体化する
- デザインを重視する
ブランディングの価値を明確にする
リブランディングを成功させるためには、ブランディングの価値を明確にすることです。
ブランドの定義を「ブランド・アイデンティティ」と呼びますが、ブランディングの際にはブランド・アイデンティティをしっかりと認識する必要があります。
ブランドは社会または顧客にとってどのような価値があるのか認識することで、適切なブランディング戦略の方向性が見えてくるでしょう。
ブランディングを客観視する
リブランディングを成功させるために重要なのが、ブランディングを客観視することです。
ブランディングは企業の価値を押し付けるのではなく、客観的にブランディングがどのような価値を持っているかを捉えましょう。
客観的なブランディングを把握するためには、市場調査や顧客アンケートが有効になります。
リブランディングを成功させるためには顧客からのリアルな声が必要です。積極的に顧客アンケートなどを行い、日々ブランディングの意識調査に努めましょう。
現状の課題を具体化する
リブランディングを成功させるためには、現状の課題を分析して具体化する必要があります。
「何故リブランディングが必要なのか?」
「顧客のターゲット層をどこに絞るのか?」
といった具体的な課題やターゲットを明確にして戦略を練る必要があります。
目標や課題を明確にすることで、リブランディングに必要な要素が浮き彫りになるでしょう。
デザインを重視する
「ブランディングデザイン」という言葉があるのですが、ブランディングをするうえで重要になるのがデザインです。
デザインを凝ったものにするあまり、従来の顧客からのブランドイメージが大きく損なってしまうというリスクを考えなければなりません。
ブランディングデザインにはブランドのメッセージやコンセプトを一目でわかる情報に落とし込む必要があります。
視覚情報をデザインに集約することで、顧客にとってブランドの魅力をいち早くアピールできるのです。
リブランディングの成功事例
ここまで失敗事例を見ていきましたが、顧客ニーズを的確に把握してリブランディングに成功した事例もあります。
LEGO社、スターバックス社におけるリブランディングの成功事例を確認してみましょう。
LEGO
LEGOはデンマーク発の世界的な玩具メーカーですが、2000年代初頭に子供のおもちゃ離れなどを原因に売上が低下するという経営危機を抱えていました。
2004年、当時のクリスチャンセンCEOはNPS(ネットプロモータースコア)を導入。NPSとは消費者の顧客満足度を可視化するための指標です。
NPSを導入したLEGO社は子供をはじめとする顧客の嗜好を分析。商品開発やブランド開発に活用することで業績向上に成功しました。
LEGO社は2006年に「イノベーション・マトリクス」と呼ばれる改革を導入し、企画・開発時に製品開発の全工程を一覧できるようになりました。
これにより、顧客からのフィードバックは製品開発へリアルタイムに反映されるようになり、ブランド開発にも多いに役立つようになったのです。
スターバックス
全世界にコーヒーチェーン店を展開しているスターバックス社はブランロゴから「コーヒー」の文字を消す大胆なリブランディングに成功しました。
スターバックスのロゴはギリシャ神話に登場する「セイレーン」という人魚をモチーフにしています。
創業以来、スターバックスのロゴはセイレーンのロゴを「STARBUCKS COFEE」という文字が周囲を囲むというロゴになっていました。
劇的なブランドロゴの変化を実施したのは2011年。「STARBUCKS COFEE」の文字は消失し、「セイレーン」のみを残すロゴに大胆な変更を行っています。
コーヒーの文字を消したのはコーヒー以外の商品取り扱いが増えたため。
SNSをはじめとする新商品を打ち出すスターバックスの戦略ともマッチし、ブランド変更によるリブランディングの成功事例といえるでしょう。
リブランディングで企業価値を見直そう!
リブランディングの効果や目的を失敗事例・成功事例とともに見ていきました。リブランディングとはブランド再生、すなわち古くなったブランドを再定義することを意味します。
リブランディングは大胆な戦略変更であり、多くの企業が失敗事例を残しています。
リブランディングに失敗してしまった理由は顧客を無視した大胆なブランド変更に対して、顧客がついてこれなくなったことが主な原因です。
失敗事例から学ぶこととしては、リブランディングをする際には顧客ニーズや市場ニーズを把握することが必要ということです。
失敗事例からリブランディングの方法を学び、成功へと繋げていきましょう。
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