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ブランドエクイティの構成要素とは?企業の資産価値を測定する方法

brandpr

2023.10.26
  • ブランディング/PR

ブランドエクイティはブランドを将来的に収益をもたらす無形資産として捉える考え方です。

この記事では、ブランドエクイティの意味や測定方法について、成功事例を交えながら解説。

また、ブランドエクイティを理解するうえで役に立つブランドピラミッドの構成要素についても紹介していきます。

ブランドエクイティを有効活用して企業経営やマーケティングを考えていきましょう。

ブランドエクイティとは?

ブランドエクイティ

会計に詳しい方であれば、エクイティ(株主資本)という言葉を耳にしたことがあるでしょう。

ブランドエクイティはブランドを株主資本に見立てるという考え方です。

ブランドは顧客を引き付ける魅力のある無形資産であり、将来的に収益をもたらしてくれる存在といえるでしょう。

ブランドの資本

ブランドエクイティ(Brand-Equity)とは企業ブランドが持つ無形の資産価値を表します。

エクイティとは株主資本あるいは自己資本という意味の会計用語です。

ブランドエクイティは他の有形資産(土地や建物、機械設備)と同様に企業の貸借対照表(バランスシート)に記載されます。

将来の収益を生み出す資産である価値があるため、必要な出費を行ってブランドエクイティを作り出すのです。

例えば、マクドナルドというブランドは顧客の獲得を期待できるものです。競合他社よりもマクドナルドを利用したいというユーザーを獲得できます。

ブランド・エクイティとは、あるブランドが顧客、取引先、または社会全体に対して持つさまざまな無形的な資産価値のこと。
有価証券や生産設備などは運用により価値が増減したり、売買の対象ともなるため、企業会計の貸借対照表(B/S)上に記載される。 ブランドはこれら有形資産とは違って目に見えないが、有形資産同様に投資して育成すれば価値が高まり、何もせずに放置したり悪いイメージを与えるような行いを為せば価値は下がる

引用:ブランドエクイティ|グロービス経営大学院

ブランドエクイティの由来

ブランドエクイティを提唱した人物はカリフォルニア大学の教授であったデイビッド・アーカー(1938-)とされています。

アーカーはマーケティング理論を専門としており、ブランドアイデンティティという考え方を提唱した人物でもあります。

ブランドコンサルタントでもあるアーカーは「ブランドエクイティ・テン」という10の属性を提唱。

以下10の項目によってブランドエクイティは構成されると主張しています。

<ブランドエクイティ・テン>
・差別化
・満足度または忠誠心
・知覚される品質
・リーダーシップまたは人気
・知覚される価値
・ブランドの個性
・組織の関連性
・ブランドの認知度
・市場シェア
・および市場価格と流通範囲

企業経営戦略におけるブランドエクイティ

ブランドエクイティは競争優位を作り出し、他社との差別化を生む資産です。

企業経営戦略においては、どのようにブランドエクイティを創出するかという計画が重要になります。

また、作り出したブランドエクイティを運営・維持していくかというポイントも重要です。

ブランドエクイティを作り出し、有効活用するためには高度の経営マネジメントが必要とされます。

自社と顧客の双方にメリットがある

ブランドエクイティは自社企業のみならず、顧客にとってもメリットがあります。

強固なブランドが存在することによって顧客は市場の中から商品やサービスを選択する手間が省けます。

市場のことをよく知らないというユーザーにとって強固なブランドが存在することで、わかりやすいターゲットとなり得るのです。

例えば、初めてハンバーガーショップに行くという方にとってマクドナルドというブランドが存在することで商品の選択が容易になります。

このように、ブランドエクイティを形成することは売り手である企業にとっても、買い手である顧客にとっても有用に機能するのです。

ブランドピラミッドはブランドの構成要素

ブランドエクイティ

ブランドの構成要素を説明するうえで「ブランドピラミッド(ブランドエクイティピラミッド)」という考え方が分かりやすいです。

ブランドピラミッドとは、ブランドの構成要素をピラミッドに見立てたものです。

ブランドを構成する根幹となるアイデンティフィケーションを確立し、いかにして消費者との接点を作り出すことが重要です。

ブランドピラミッドの構成要素

ブランドピラミッドは4階層に分かれており、以下の要素から構成されます。

  • 階層1.アイデンティフィケーション
  • 階層2.ミーニング
  • 階層3.レスポンス
  • 階層4.リレーションシップ

階層が上がっていくにつれて顧客との関連性が強まり、ブランドと消費者の親和性を表します。

最下層にある「アイデンティフィケーション」ではブランドの根幹を示し、消費者から最も遠い概念です。

一方、最上層のリレーションシップでは消費者にとってどのような価値があるか、実際にどのような行動をするのか具体的な判断が必要です。

階層1.アイデンティフィケーション

ブランドピラミッドにおけるアイデンティフィケーション(identification)とはブランドが何者であるかを定義するものです。

アイデンティフィケーションとは同一性を意味する英単語、すなわちブランドが同一であることを表します。

消費者に対してブランドが何者であることを示し、ブランドピラミッドを構成する最も根本的な要素です。

階層2.ミーニング

ミーニング(meaning)とはブランドの意味を表す概念です。

消費者にとってブランドがどのような価値を持つかを表します。

ブランドが持つ意味に限定せず、消費者にとっての価値を表すためアイデンティフィケーションよりも高次元に位置づけられます。

階層3.レスポンス

レスポンス(Response)は消費者がブランドに対して起こす具体的なアクションです。

消費者がブランドに対してどのような感情を持つか、あるいはブランドを消費する自分を具体的に判断します。

消費者が商品やサービスを手にとった時の自分を想像する、あるいは自分にとってどういう価値があるかを連想させるのです。

階層4.リレーションシップ

リレーションシップはブランドピラミッドを構成する中で最も顧客に近いものです。

ブランドと消費者の関連性を示し、消費者がブランドに対してどれだけ共感できるかを表します。

リレーションシップには消費者にとってブランドがどれほど感情移入できるか、友達や家族に勧めたいかなどを指します。

ブランドエクイティの評価・測定方法

ブランドエクイティ

ブランドエクイティはバランスシートに乗せるため、金額という数値で表示しなければなりません。

ブランドエクイティの金額はどのように評価・測定されるでしょうか?

一般的な商品のようにお金を支払うものであれば対価の金額を資産計上するのですが、ブランドエクイティの場合は対価の金額を特定することが難しいです。

ここでは、以下3通りの方法によるブランドエクイティの算出方法を紹介します。

  • コスト・アプローチによる算出
  • キャッシュフロー・アプローチによる算出
  • マーケット・アプローチによる算出

コスト・アプローチによる算出

コスト・アプローチとはブランドエクイティの形成にかかったコスト(費用)をブランドエクイティの評価額とする方法です。

ブランドエクイティ(ブランドアイデンティティ)を獲得するためにかかった費用、顧客を維持するために必要な費用が挙げられます。

具体的には、ロゴの制作費用やブランドの広告宣伝費用が代表例です。

ブランドを広告するための宣伝費用はブランドエクイティとして、将来的な利益獲得を目指す資産として計上します。

キャッシュフロー・アプローチによる算出

キャッシュフロー・アプローチとはブランドが将来生み出す余剰キャッシュフローから算出する方法です。

会計用語でいえば「のれん」とも言われ、ブランドが生み出す収益を見積もることによって金額を決定します。

のれんとは目に見えない資産価値(無形資産)を表し、ブランドエクイティと近い考え方です。

キャッシュフロー・アプローチによって金額を特定する際は専門知識を持つ者によってネームバリューを数値化するなどの方法がとられます。

マーケット・アプローチによる算出

マーケット・アプローチとは実際に市場(マーケット)で取引されているブランドの評価額をもとに算出する方法です。

市場で取引されるブランド価値を示す方法として、「NPS」という考え方があります。

NPSとはNet Promoter Score(ネットプロモータースコア)の略称で、顧客ロイヤリティの指標として用いられるものです。

NPSは「ブランドを第三者に勧めたいか?」というアンケート調査によって消費者からのブランド価値を0~10点で採点してもらうことでスコアを出します。

ブランドエクイティの成功事例

リモートツールへの対策

ブランドエクイティで成功をおさめた企業について成功事例を確認してみましょう。

今では世界的なブランドとして知られるアップルや無印良品(MUJIブランド)も、創業当初から順風満帆だったわけではありません。

ブランドエクイティを確立することによってユーザーの信頼を獲得し、事業を大きく拡大しました。

ブランドエクイティに成功した企業は自社が作り上げたブランドによって世界的なブランドへと成長したのです。

アップルの成功事例

アメリカのIT企業・アップル(Apple)は強固なブランドエクイティを確立した成功事例として挙げられます。

iPhoneやマックなどの製品を全世界にヒットさせたアップルが成功した背景には、スティーブ・ジョブズによる差別化戦略が成功したことがあります。

アップルは差別化戦略の例として、「独自性、デザイン性、操作性」を打ち出して他社製品との差別化に成功。

シンプルでかつ優れたデザイン性・操作性のアップルは市場で唯一の存在へと成長しました。

アップルが開発した独自の製品は他社との差別化に成功し、ブランドエクイティを築き上げたのです。

無印良品の成功事例

無印良品はシンプルなデザインで独自性を確立し、海外では「MUJIブランド」と呼ばれるほどブランドを確立した一例です。

「シンプルかつおしゃれ、長持ちする」という無印良品はシンプルなデザインで消費者の注目を集め、強固なブランドエクイティを生み出しました。

シンプルであることにこだわったデザイン性は市場での差別化に成功し、多くのファン獲得に成功。

無印良品を運営する良品計画は2000年以降、無印良品のブランド価値を押し出して利益拡大に成功しました。

ブランドエクイティで企業経営を支える

ブランドエクイティ

ブランドエクイティは企業にとって利益を生み出すための貴重な財産です。

ブランドエクイティを生み出し、維持・管理していくためには強力な経営戦略が必要となります。

ブランドエクイティを管理するためには、ブランドをピラミッドに見立てた「ブランドピラミッド」という考えが有効です。

ブランドピラミッドでは根幹となるアイデンティフィケーションを見直し、顧客との接点を作り出す戦略をとります。そのうえで、顧客とのレスポンスやリレーションシップを獲得することで価値のあるブランドを生み出せるでしょう。

ブランドエクイティの確立に成功したアップルや無印良品といった企業は顧客からのレスポンスやリレーションシップを重視し、世界的にも大きなブランドへと成長を遂げました。

事業が成長するかどうかは、ブランドエクイティをいかに形成できるかどうかが鍵を握っているといえるでしょう。

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