ネットの書き込みによる被害|損害賠償を請求するためには?おすすめの方法を紹介!
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- 誹謗中傷
ネットを閲覧していて自身や勤めている会社のことで誹謗中傷の書き込みがされていたら、大きなショックを感じるでしょう。安易な投稿は、人の心や企業の信用を傷つけてしまいます。
ネット投稿による被害を受けたとき、「投稿者に損害を請求できないのか」「被害をどうしたら鎮められるか」、そんな疑問や不安をお持ちの方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、損害を請求するための条件・手順・事例について解説します。
悪質なネットへの書き込みで損害賠償を請求できるケース
ネット上で個人や企業を誹謗中傷する事案が増えてきました。誰でも閲覧できるネットの悪質な書き込みは名誉毀損に該当することもあり、売上の低下など多くの悪い影響を受けることがあります。
極めて酷い投稿であれば、投稿者を探して慰謝料や売上低下分の賠償を請求したくなる場合もあるでしょう。しかし、賠償してもらうためには明らかな違法性がなければなりません。
投稿の内容に名誉毀損にあたる内容があれば、投稿者を明らかにして慰謝料などを請求できるケースがあります。企業・店舗の運営に影響して売上が減少した場合は、減少分の請求を検討してみましょう。
悪質なネットへの書き込みで受ける被害
企業は誹謗中傷にあたるネットへの書き込み被害を受けると、売上減少などの経済的損失だけでなく社員や家族、株主まで大きな被害を受ける可能性もあるのです。ここでは、主な例として「売上と信用の低下」「社員の意欲低下」「就職希望者の減少」について解説します。
売上の低下
企業が悪質な投稿で誹謗中傷を受けると、扱っている商品やサービスの売上が減少します。例えば、メーカーの製品について「あの会社の製品には欠陥がある」と書き込まれると、それを見た人は不安を感じて敬遠するかもしれません。
最初に書き込みを見た人が、知人に共有するとネット外にも広がります。ネットに書き込みが残っている限りは、いつまでも拡散が続くのです。いったん拡散した書き込みはコピーサイトなどにも残り、売り上げ低下は将来にわたって計り知れないほど大きくなる可能性があります。
信用の低下
誹謗中傷によって信頼が下がると、取引先から断られたり金融機関から融資をストップされたりする可能性があります。ここまで極端なことがなくても、仕入れ単価や融資の利息を上げられることもあるでしょう。このような状況になると、例えば株式を公開している企業であれば株価が下がり影響は株主まで及ぶことも考えられます。
たった1人の安易な書き込みでも、企業の信用に悪い影響を及ぼしかねません。いったん落ちた信用を取り戻すためには、長い年月がかかってしまいます。回復するためには相当な努力が必要です。
社員の意欲低下
ネットの書き込みを見た社員は、「自分の会社は世間からそのように見られているのだ」と思って落胆してしまうでしょう。さらには売上や信用の低下に伴って報酬も少なくなり、モチベーションも低下します。
このような状況になると、人件費削減のための退職勧奨実行も避けられません。優秀な社員ほど待遇の良い会社を求めるため、人材不足になることも考えられます。
就職希望者の減少
会社に不満を持つ人が「あの会社はパワハラが横行している」「この会社は労働法規に違反している」といった書き込みをすると、書き込みを見た就職希望者は名の知れた優良企業でない限り、他の会社を希望するでしょう。
職を探している人は新卒・中途に限らず、ネットの掲示板などに掲載している情報を見ています。企業にとって人材は宝であり、どのような会社も意欲のある優秀な社員を雇用したいと考えるものです。
訴訟に至った事例
SNSや掲示板への書き込みは、暇つぶしや安易な気持ち、もしくは当人の正義感であっても誹謗中傷につながる場合があります。書き込みは個人だけでなく、企業へ向けられる内容もあるのです。ここでは、訴訟につながった書き込み事例を3件ご紹介します。
掲示板への投稿が名誉毀損になった事例
匿名掲示板に、動物病院A(原告)のことを「誤診」「汚い病院」「はやく潰れて」などの複数の投稿がありました。
この投稿を確認した動物病院の院長Aは、掲示板の運営・管理者であるB(被告)に対して投稿の削除を求めます。しかし、Bが応じなかったため「B(被告)が投稿を削除せず放置していた」として損害賠償500万円を求めて訴えたものです。
判決は、掲示板の管理者Bが院長に400万円を支払うことに加えて、投稿も削除するように命じられました。
偽計業務妨害の事例
被疑者Dは、自身のブログに俳優Cが「違法の薬物を使っている」「女性に暴力をふるっている」などのデマを書き込みました。Dは自身のブログサイトで広告収入を得ており、扇動的な内容の記事を書きたかったようです。デマ情報はまとめサイトなどにも拡散します。
投稿から数か月後、俳優Cの所属事務所が業務を妨害されたとして被告被害届を警察に提出しました。ホームページには「書き込みの内容は事実無根であり、民事・刑事の両面で責任を追及する」との告知分を掲載しています。およそ1年後、警察は偽計業務妨害容疑でDを含む男女3人を書類送検しました。
あおり事故に伴うデマ投稿
被告Fは、建設業の経営者E(原告)を姓が同じであったこともあり「あおり運転事故を起こしたHの父親」と誤解してEの会社情報をネットに投稿しました。
安易な気持ちで投稿されたデマはあっという間に広がり、「おまえが犯人の父か、息子をだせ」といった電話が毎日頻繁にかかるようになったのです。Eさんは「2カ月間外を歩くのも怖かった」とのことでした。
Eさんは自身が経営している会社の信頼を失わないために、取引先を回って説明もしていたようです。そして、投稿したFを含む8人に880万円の賠償を求めて訴訟を起こしました。
損害賠償請求までの手順
ネットで悪質な書き込みを発見したら、まず証拠を保存しておきます。すぐに保存しないと知らない間に書き換えられる場合があるため、しっかり保存しておきましょう。仮に証拠が残っていないと、裁判を行うとき不利になってしまいます。
ここでは、ネットで誹謗中傷を見つけたときの損害賠償請求までの手順について解説します。被害を受けたネットの書き込みに応じて、最善の手段を選択しましょう。
削除請求
書き込みを削除するだけでよいときは、書き込みされたサイトの管理者に連絡して削除請求をします。
サイトに削除申請のガイドラインが定められていれば、それに従って申請します。しかし、2ちゃんねるの場合は削除申請も公開されるため注意が必要です。書き込みが残っていると短時間で拡散して炎上につながることも考えられるため、迅速な対応が必要です。
書き込みの内容に違法性があるにもかかわらず応じてもらえない場合には、裁判手続きを行うことで削除命令が下されることもあります。
IPアドレス開示請求
賠償を請求するためには投稿者の住所、氏名などの個人情報を明らかにしなければなりません。しかし、投稿者を特定することは削除依頼よりもさらにハードルが高くなっているので留意しておきましょう。
手順は、まず投稿のあったサイトの管理者にIPアドレスやタイムスタンプの開示を請求します。サイト側からすぐに提示してもらえるケースはほとんどなく、裁判手続きが必要となる場合が多いでしょう。
発信者情報開示請求
IPアドレスが開示されたら、次に発信者の住所・氏名を特定するために発信者がネットに接続しているKDDIやソフトバンクなどのインターネットサービスプロバイダーを割り出します。
当該プロバイダーに対して「発信者情報消去禁止」の仮処分の申請を行いましょう。発信者の情報が消されてしまい、特定できなくなるのを防ぐためです。
通信記録は、3カ月から6カ月ごとに削除しているため、削除されると個人を特定できなくなります。証拠がないと、法的な措置もできなくなるので注意が必要です。
発信者情報消去禁止の命令を出してもらったら、プロバイダーに対して発信者の住所や氏名などの開示請求の申立てを行いましょう。この申立てを認める決定が出れば、プロバイダーから書き込みした人の情報を開示してもらい、特定できます。
損害賠償請求
投稿者の情報が開示されたら、賠償を請求したり違法な書き込みをしない約束をしたりできます。違法性があれば刑事責任の追及も可能です。
損害賠償請求するためには、減少した売上を明確する必要があります。前年度や前月と比較して詳細を出しておきましょう。しかし、受けた損害額が全て支払われることはほとんどありません。また、裁判手続きを進めている間に書き込みの内容が拡散されることもありますので、注意しましょう。
投稿者特定までのハードル
投稿者を特定して賠償を請求するまでには、ほとんどのケースで以下のように3回の裁判を行う必要があります。
・投稿のあったサイトへのIPアドレス開示の請求
・発信者情報消去禁止
・発信者の住所や氏名などの開示請求
ここでは、手続きを進めていく上で大切な投稿者の権利と期間について解説します。
投稿者の「表現の自由」
ネット上の書き込みのほとんどは、一時的な怒りや憶測で安易になされています。一方、書き込まれた個人や企業は悲しい思いをしたり、売上減少や社員の意欲低下を招いたりすることになるなど、大きな被害を受けてしまいます。
このような書き込みに対しては、削除の依頼や投稿者を特定して賠償を請求したくなるものです。しかし、書き込みした人にも表現の自由があります。違法性が明確でないと、削除や投稿者の情報開示に応じてもらえないでしょう。
さらに、誹謗中傷の書き込みに対してすぐ法的手段を取ると、再炎上につながる危険性があります。相手の感情を逆立てないことも重要です。
特定までに必要な長い期間
投稿した人に賠償を要求するためには、投稿した人の住所や氏名を明らかにしなくてはなりません。特定までには裁判も必要となり、期間は半年以上もかかります。
一方、ネットの書き込みは一瞬のうちに投稿者から他の投稿者へと伝わり、拡散していくのが特徴です。さらにまとめサイトなどに写しができることもあります。裁判手続きをしている間にも拡散は進行していくので、書き込みの状況から予測を立てておく必要があるでしょう。
状況を把握していないと、長い期間をかけてようやく勝ち取ったときには放置された内容によって被害が大きくなっていることも考えられます。
悪質な書き込みへの対応
悪質な書き込みに対しては、迅速かつ慎重に対処しなければなりません。対策を誤ると投稿者の反感を買い、被害がさらに大きくなることもあるでしょう。
仮に問題を解決できても、再発を防止するためにはしっかりと対策を取っておく必要があります。しかしどのような対策を取れば良いのか悩む方も多いでしょう。ここからは、悪質な書き込みの対応法について解説します。
自ら削除申請
自らサイト管理者に削除申請を行う方法です。申請に応じてもらえれば、費用をかけることなく数日で削除してもらえることもあります。
しかし、サイト管理者が投稿を削除してくれるとは限りません。削除を申請する際にはどの投稿が問題か、どんな権利が侵害されているか、といったことを証明する必要があります。
また、慣れていないと正しく伝えることは難しいものです。情報が正しく伝わらないことが原因で、申請に応じてもらえない場合があることも考慮しなければなりません。削除の申請は投稿を消去するだけとなり、相手に対して損害を賠償させることもできません。
弁護士に依頼して損害賠償請求する
ネットの書き込みへの対処を弁護士に依頼する方法もあります。弁護士に依頼すれば法律面でのサポートに加え、民事・刑事のどちらにも適切に対処してもらえるため安心です。また、前述した削除申請を代行してもらうこともできます。ネットの書き込みには、サイバー問題に強い弁護士が適任です。
しかし、裁判における違法性などの判断は裁判官にゆだねられているため、必ずしも投稿者を特定して損害の賠償を請求できるとは限りません。また、弁護士に依頼する場合には着手料や相談料なども必要になります。
3.専門の業者に相談する
悪質なネットの書き込みや、誹謗中傷対策を専門とする業者に相談するのも有効です。ネット書き込み対応のプロが適切に対処してくれるため、被害を最小限に抑えられます。
弁護士に依頼した場合、対処してもらえるのは発生している被害にかかわるものです。多くの場合、原因の特定や再発防止策については対応していません。
対策業者にもよりますが、専門の業者であれば発生した問題の原因調査や再発防止策についても立案・実施が可能です。書き込みの事実関係を確認して、なぜそのような投稿に至ったのかを分析し、対処します。再発を防ぎ、ネットへの書き込みの不安が消えれば業務に集中できます。
悪質なネットへの書き込みならブランドクラウドへ
投稿の内容によっては極めて悪質で違法性があり、無視していると企業のイメージを悪くするものもあるでしょう。そのようなケースにおいては投稿者を特定して違法性を認めさせることが最善です。
ネット上のサイトにネガティブな書き込みが行われた場合、1件ずつ削除依頼して消していくのは得策ではありません。削除依頼をしている間に、元情報が拡散されて何件も書き込まれていってしまいます。
ブランドクラウドは、SNS・ブログ・掲示板などそれぞれの書き込みサイトに応じた誹謗中傷の予防と対策を提供しています。誹謗中傷のことでお悩みの企業様、誹謗中傷対策をお考えの方はブランドクラウドにご相談ください。
まとめ
企業が悪質なネットの書き込みを受けると、売上の減少など多くの被害を受けます。投稿の内容が極めて悪質で違法性も明確なケースでは、イメージダウンを防ぐためにも厳格な対処が必要です。
投稿が批判に近く、違法性も不明確なときには投稿者を特定することすらできないと予想されます。どちらにしてもネガティブな書き込みには早急な対処が必要です。
企業にとってネガティブな書き込みを早期発見し、迅速に対応することが企業や社員を守ることにもつながります。そしてブランドイメージを維持・向上していくことができるのです。
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