PRとは?その役割やメリット・ポイントまで詳しく解説!
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- ブランディング/PR
情報発信は、企業や商品・サービスを周知させ利益につなげるために重要な要素です。
広報や広告、マーケティングなど様々な概念が存在する中で、混同されやすい「PR」という言葉について、その他との明確な違いが分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、PRとは何なのかを広報などとの違いも合わせてご紹介しつつ、その役割や方法まで、より深く解説していきたいと思います。
PRとは
PRとは「パブリックリレーションズ」の略称であり、企業と企業に関わるステークホルダーとの間でコミュニケーションを図ることにより、相互利益につながる関係性を構築することを指します。
ステークホルダーに対して価値のある情報を適切に発信することで、企業の社会的な評価は高まり、集客力や売上アップにつながります。
また、企業はPRを通じて、消費者の口コミ評価やコメントなどのフィードバックを得ることが可能です。
フィードバックをもとに企業のあり方を再検討することにより、社会により貢献できる経営へとブラッシュアップできるでしょう。
マーケティングとの違い
PRが混同されやすいものはいくつかありますが、その1つがマーケティングです。
これらは、その目的や内容に違いがあります。
企業の社会的評価を高めることが最終的な目標となるPRに対し、マーケティングは「利益をどれだけ出せたか」がゴールとなります。
そのため、マーケティングではPRで重視される口コミなどよりも、リピート率やブランドの認知度に注目することが多いでしょう。
プロモーション・セールスプロモーションとの違い
プロモーションや広告、セールスプロモーションも、PRと混同されやすいでしょう。
この3つの違いを知るには、「マーケティングの4P」というジェローム・マッカーシーが1960年に著書『ベーシック・マーケティング』に記した考え方を知ると良いでしょう。
「マーケティングの4P」では、マーケティングのあり方を下表の4つの「P」で説明しています。
Product |
Price |
Promotion |
Place
|
何を(製品) |
いくらで(価格 |
どのように(促進) |
どこで(場所) |
この中のひとつに含まれるのが、プロモーション(Promotion)です。
プロモーションとは、物やサービスを「どのようにして売っていくか」という部分を担う言葉です。
セールスプロモーションという言葉も同様に聞かれますが、日本で「プロモーション」と呼ぶ場合は、「販売促進(Sales Promotion)」の「Sales」を省略していることもあるので注意が必要です。
そして、広告やPRはこのプロモーションの一環として、
- 「プロモーション(どうやって売るか)」の一環として費用を軸に売り込むのであれば「広告」
- 企業理念(CB・CI)や情報提供によってステークホルダーの認知獲得を行うのであれば「PR」
と呼ばれることになります。
これらは厳密に分けられておらず、たとえば商品宣伝用の記事広告にPRと記載される場合もあります。自分の所属する組織での使われ方と、他の組織での使われ方が異なるケースもあるのが実情です。
そのため、重要な商談などでは念のため具体例などを挙げて認識に齟齬がないか確認しておくと安心ですね。
広報との違い
広報を英語にすると「public relations」なので、「PR=広報」です。しかし現状、「広報」という言葉は、しばしば本来の意味より狭義の内容で使われることが多くなっています。
狭義では、広報は情報の収集や発信を戦略的に行い、ステークホルダーとより良い関係性を築くことです。
同様のことをPRと呼称することもありますが、広報はPRに含まれる概念であると考えておくと良いでしょう。
PRの目的・役割
PRは、様々な役割を持っています。
具体的にどのような目的・役割があるのか、以下でご紹介していきます。
商品・サービスの認知度向上
まずは、情報を発信することで商品やサービスの認知度・理解度を高めるということです。
ただ商品やサービスの訴求を行うだけでなく、企業の理念を理解してもらえるような情報を発信し、顧客の認識を変えていく、共感してもらうことによってファンを増やすということが、PRの目的のひとつとなります。
ステークホルダーとの関係構築
ステークホルダーとは、企業経営における利害関係者のことを指します。
具体的には、顧客となるユーザーや従業員、取引先、株主、市場関係者などですね。
そんなステークホルダーとの関係性を構築するのも、PRの役割のひとつです。
企業の活動やサービスについてPRを行うことで、ステークホルダーに理解してもらい、商品やサービス、ひいては企業に好感を持ってもらい関係性の構築を目指します。
ユーザーとのコミュニケーション
PRには、ユーザーとのコミュニケーションという目的もあります。
SNSが発達している現代では、口コミなど、ユーザーの意見が大きく拡散し売り上げに影響することも多くあります。
ユーザーを大事にし、しっかりとコミュニケーションを取ることで口コミなどで好意的な宣伝を行ってもらうことで新たなユーザーの獲得へとつなげるために、PRによる積極的なコミュニケーションが重要になります。
企業PRと商品PR
PRには、「企業PR」と「商品PR」の2種類があります。
それぞれの概要は、以下のようなものです。
企業PR
企業PRは、経営者のビジョンや企業の理念、事業展開などをステークホルダーに伝えて、良好な関係を構築するための活動を指します。
経営者を含めた、従業員全員で取り組むことが必要です。
「良いモノを作れば売れる」という時代は過去のものです。
現代で中長期的に収益を上げるには、コーポレートブランディングやCIなどに賛同するファンを獲得することが大切です。
企業PRを通じて獲得したファンは、商品やサービスを継続的に購入する消費者へと転換させられる可能性が高いと言えるでしょう。
商品PR
商品PRは、情報発信メディアを活用し、商品やサービスの価値や特徴を認知させるための活動です。
ステークホルダーを意識した、情報発信メディアやコミュニケーションツールの選択が必要になります。
商品PRでは、企業PRで伝えた企業理念や経営者ビジョンと一貫性を持つことが大切です。
例えば「お菓子で人を幸せにする」という理念を持つ製菓店の場合には、新商品発売時には「一緒に食べると仲良くなれる」などのメッセージを伝える商品PRを行うと良い、というようなものです。
PRのメリット・デメリットとは?
PRは必ずしも企業に良い影響を与えて、ビジネスを成功させるものとは限りません。
PRを行うときにはメリットとデメリットの両方を把握し、期待できる効果を見極め実践する必要があります。
ここでは、企業がPRを実施する主なメリット・デメリットについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
PRのメリット
通常、PRでは広告のような直接的かつ一方的なアプローチは行わず、プレスリリースなどによって経営者のビジョンや企業の理念をメディアを通して拡散する方法を取ります。
広告と比較した場合のPRのメリットは、以下の4点です。
メリット1:費用対効果が高い |
PRでは、メディアの運営者が「有益」と判断した情報を自主的に拡散します。 そのため、広告のような枠を購入する費用が発生せず、費用対効果が高いプロモーションを実現することが可能です。 |
メリット2:情報の信頼性が高い |
PRではメディアの運営者が拡散する情報を選択するため、ステークホルダーには客観的な意見や評価として受け取られます。 客観的な意見や評価は宣伝色が薄く、ステークホルダーの信頼度を高めることが可能です。 |
メリット3:多くの消費者へ効率的に訴求できる |
PRでプレスリリースとして発信した情報がテレビで拡散されると、何万人もの視聴者に企業や商品・サービスの存在を認知させることができます。 PRで発信した情報がSNSでシェアされることにより、周囲の人に対しても影響を与えることができるでしょう。 情報を目にした人が商品・サービスを購入すれば、費用対効果の高いプロモーションが実現します。 |
メリット4:PRと広告とを連動させてプロモーション効果を高める |
たとえばビールの新商品を発売する場合、製法や原料に関するテレビの取材を受けた後に動画広告などを配信すると、プロモーション効果を高められる可能性があります。 |
PRのデメリット
PRと広告の大きな違いは、情報発信の確実性です。
PRの情報は、メディアの判断により拡散されるかが左右されます。
そのため、以下のようなデメリットが発生します。
デメリット1:情報発信できる保証がない |
PRでは一定の費用を支払い広告を掲載してもらうわけではないため、確実な情報発信を行えません。 たとえプレスリリースを送付してもメディアの担当者が「有益」と判断しない限り、プロモーションを行うことは不可能です。 |
デメリット2:内容をコントロールできない |
PRで発信した情報をどのように扱うかは、メディアの判断に委ねられます。 メディアの判断によっては、企業側の意図した内容とは異なる情報が拡散され、炎上につながる可能性があります。 商品やサービスの弱点などに焦点をあてられる場合もあるため、注意が必要です。 |
デメリット3:意図した消費者に訴求できないケースもある |
PRで訴求できる消費者は、メディアの視聴者や購読者に限定されます。 そのため、企業の意図したターゲット消費者に対してプロモーションを実施できない可能性もあります。 |
デメリット4:PRよりも広告が適しているケースもある |
広告は枠を購入するため、年齢・性別・地域などに関して詳細なターゲティングを定め情報発信するためには、PRよりも広告が適しています。 また、広告の内容は企業が自由に決定できるため、情報発信の目的に応じて、文章や画像を工夫することも可能です。 |
PR活動の手順
それでは、実際にPR活動はどのように行われているのでしょうか。
その手順を、流れに沿ってご紹介します。
現状の分析
ただやみくもにPRを行っても、結果は期待できません。
まずは、企業やサービスが置かれる現状を分析し、ステークホルダーとの間にどのような齟齬があるのかといった課題を洗い出します。
企業PRでは、経営の目標と現状のギャップを、経営陣に直接ヒアリングするというのも有効です。
目標設定・計画
課題が明確になったら、その解決のためにどのようなPRが必要なのかを具体的に計画していきます。
まずは明確に測定可能な目標とターゲットの設定を行い、どのような方法で情報を発信するかなど、その達成を目指した戦略を立案していきましょう。
実施と効果測定
計画ができたら、実際にその計画に沿ってターゲット・発信方法・タイミングなどを意識してPRを実施します。
実施して終わりではなく、重要なのはその後効果の測定を行い、再度問題点や課題を分析して計画を立てるといったサイクルを回していくことです。
PRの効果的な3つの方法
PRを効果的に拡散させるには、最適な方法を選択し、戦略的に実施する必要があります。
しかし、PRの方法はさまざまな種類があり、「何を選択すべきか」悩んでしまうことも少なくありません。
ここでは、PRの代表的な方法を紹介します。
マスメディア
マスメディアとは、新聞・テレビ・雑誌など公衆に対して情報を発信するメディアです。
マスメディアに取り上げられると幅広い消費者層に発信できますが、拡散までに時間がかかる難点があります。
・新聞
新聞記者に企業や商品・サービスの説明資料を渡して記事として取り上げてもらい、認知度アップを図るPR方法です。
新聞は歴史の古いマスメディアであるため購読者の信頼度が高く、消費者として安心感を与えられます。
・テレビ
ニュース番組や情報番組で、企業や商品・サービスについて紹介してもらうPR方法です。
テレビでは音声と映像により情報を提供するので、消費者に対して効果的に訴求できます。
・雑誌
雑誌の記者・編集者に、記事内で企業や商品・サービスについて取り上げてもらうPR方法です。
雑誌の購読者の年齢・性別・趣味などとターゲット層をしぼりやすく、効果的なプロモーションが可能です。
インターネット
インターネットメディアをPRに活用するとリアルタイムにグローバルな情報が発信できます。
インターネットメディアの主な種類とPRにおける活用法は以下の通りです。
・1次メディア
1次メディアとは、新聞社やテレビ局などが運営し、情報を拡散するインターネットメディアです。
1次メディアは消費者から「信頼度の高いメディア」と認知され安心感を持たれています。
・2次メディア
2次メディアとは、1次メディアの配信する情報を抜粋・編集し掲載するメディアです。
具体的には、ポータルサイトなどを指します。
2次メディアではアクセスを多く集めやすく、幅広い層の消費者を対象としたプロモーションに適しています。
・オウンドメディア
オウンドメディアとは、企業が独自に運営するブログやコーポレートサイトのことです。
オウンメディアを通じたPRでは商品・サービスのターゲット層と、双方向のコミュニケーションを取ることができます。
・SNS
SNSの企業アカウントを運用し、新商品の発売告知を行ったり消費者からの質問に応えたりすることで、関係性を深めるPR方法です。
インフルエンサー(多くのフォロワーを抱える人気ユーザー)の目に止まったり、利用することができれば、商品やサービスの普及が爆発的に進むケースも多くみられます。
オフライン
プロモーションの目的によっては、オフラインで行うPR活動が有効な場合もあります。
オフラインで行うPR活動の主な種類と特徴は、以下の通りです。
・展示会、イベント
展示会やサンプリングイベントを開催し、商品・サービスの認知度拡大を目指すPR方法です。
展示会などの準備には一定の時間と費用を要するものの、強力なファンを作るための効果的な手法です。
・DM
消費者に対して手紙やメールを送付し、商品・サービスを紹介するPR方法です。
DMには割引クーポンを添付し、消費者の購買意欲を後押しする方法もあります。
PRを成功させるための4つのポイント
成功するPRを企画するためには、
「正しい手順を踏んで」
「十分な事前準備を行うこと」
「念入りに戦略を立てること」
が大切です。
さらに、PRは短期的な活動で終わらせず、継続的に取り組まなければなりません。
ここでは、PRを成功させる具体的なコツを紹介します。
ポイント1:目的と目標を明確にする
プロモーションの目的や目標に応じて、最適なPR方法は変化します。
PRを開始する前には、「メディアにおける露出度を高めて企業の認知度を拡大する」など、プロモーションの目的や目標を必ず明確にすることが必要です。
ポイント2:ターゲットを明確にする
プロモーションの目的や目標を明確にする場合には、合わせてターゲットも決定しなければなりません。
ターゲットを決定するときは、「どのような立場の人がコーポレートブランディング・CIに関心を持つか」「誰が商品・サービスに価値を感じるか」などの視点から、絞り込んでいきます。
ポイント3:2つ以上のPR方法を組み合わせる
さまざまなPR方法を組み合わせると、各メディアの弱点を補い合い、シナジー効果を得ることが期待できます。
2つ以上のPR方法を組み合わせてメディアごとに異なる情報を発信する手法を、「クロスメディア戦略」と呼びます。
クロスメディア戦略では、メディアごとにターゲットを決定し、発信する情報や見せ方を工夫することが大切です。
ポイント4:情報を更新し続ける
一度開始したPRを中断すると、企業活動そのものが停滞していると受け取られるリスクがぬぐえません。
PRの開始後は定期的に内容を更新して、情報発信を継続する必要があります。
継続的なPRを行う中で発覚した課題は、次回の目標を決定したり戦略を立てたりといったように活かしていきましょう。
PDCAサイクルを繰り返し、より効果的な方法へとブラッシュアップしていくことが、PRを成功させるためのポイントです。
PRの事例紹介
PRを成功させるためには、実際の事例を参考にして「戦略の立て方」「プロモーションの進め方」のノウハウを習得することも大切です。
例えば、人口減少などの問題を抱え「消滅可能性都市」にも指定されていたある都市では、問題解決のための施策のひとつとして、ゲームを取り入れて若者の地域参加を促すPR活動を行いました。
施策はゲームアプリ内に再現した同市を箱庭として。地域の高校生や市の職員が街の未来の理想像を議論するというもので、この活動はメディアにも数多く取り上げられて、全国の自治体から問い合わせがくるほど、注目を集めました。
他にも、動物の名前を冠したスポーツチームは動物の保全活動に取り組む海外のオックスフォード大学と連携し寄付などで野生動物を救うプロジェクトを実施し、海外からも賛同を得て認知度アップにつながっているといった例もあります。
これらに共通しているのは、公衆との相互利益をもたらすような社会的な取り組みであるということですね。
ステークホルダーをはじめ公衆からの共感を得て関係性を作っていくには、重要なポイントなのではないでしょうか。
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またSNSでの炎上など、万が一PRのデメリットにより企業活動に悪影響を受けてしまったという場合には、自社ブランドのポジティブな認知度を向上させるために、インターネット上のネガティブなイメージを改善することも重要です。
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まとめ
今回は、企業がステークホルダーと関係性を構築するために重要なPRについて、その概要やメリット・デメリット、手法などを詳しくご紹介しました。
適切なPR活動は、企業・商品の認知度向上やステークホルダーとのコミュニケーション、ひいては顧客の獲得など売上にもつながっていきます。
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