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ブランド毀損|企業のイメージダウンがもたらすものとは?

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2023.10.26
  • ブランディング/PR

経営陣の不祥事、そして社員や顧客との損害賠償問題など、どんな会社でも企業イメージを低下させる危険は付いて回るものです。

ここでは、企業イメージを低下させる危険の要因や影響、さらには経営陣の責任などをまとめて紹介します。

それでは、見ていきましょう。

企業イメージダウンの4つの要因|顧客を裏切ることがブランド力をダウンさせる

企業のイメージダウンの最大要因は、「顧客や消費者を裏切る行為をしてしまう」ことに集約されます。

社会ニーズに合わない経営方針や古い企業体質、コンプライアンス違反なども、企業ブランドを低化させる一因と考えられます。

1. ブランドの風化

自社を代表する商品やサービスであっても、社会のニーズに合った展開をしなければブランド力の失墜につながります。

マーケティングリサーチにより、販売層や商品コンセプト、販売方法などをしっかりと定めて提供しなければ、企業イメージまでも低下させます。

2. ブランド力の低下

いわゆる「ネガティブキャンペーン」のような外的要因だけではなく、企業内のコンプライアンス(形式ルール、暗黙ルール、社内規準、管理体制など)や、チェックシステムの脆薄 性などの内的要因もリスクのひとつです。

【外的要因リスクについては、こちらもお読み下さい】

3. ブランドの侵害

例えば、競合他社の人気商品に似た模倣品(偽ブランド)の製造や、商標権・特許権の侵害・ライセンス違反を犯して、他社から訴訟を提起された場合がブランドの侵害です。

また、案件によっては、訴訟を提起したほうも企業イメージをダウンさせブランドの侵害を起こすことがあります。

【外的要因については、こちらもお読み下さい】

4. ブランドの毀損

昨今、著しく増えているのがコンプライアンスの違反です。一人の役員が起こした不祥事がおおごとになり、企業経営に大きな影響を与えたり、場合によっては会社の全責任となり経営が破綻するといったリスクもあります。

企業イメージダウンの最も多い要因|ブランドの毀損とは

安全管理の欠落や信頼の損失がイメージダウンにつながる

企業イメージの低下につながる行為としては、安全管理の欠落や信頼の損失などの「ブランドの毀損」が最も大きな要因となります。具体的にどんな内容なのかを、ここで紹介します。

安全管理の欠落

食品業界

安全管理が大きく問われる食品業界では、異物混入や食中毒・O-157病原菌など安全対策を疎かにしたことで起こる事件は、企業価値を落とし業績の悪化にもつながります。

場合によっては、被害を受けた消費者や販売者から慰謝料請求など訴訟を起こされることも考えられます。

製品製造業界

自動車や家電製品など生活に大きく関わる製品に何らかのトラブルが発生し、その影響で利用者に損害を与えてしまうケースがあります。

そうした場合、何万台もの製品がリコールとなれば、その回収に大きな損失が生じます。
また、人命にかかわる事故になると損害賠償事件に発展する場合もあります。

信頼の損失

製品・サービスにおける問題

設計や製造過程での製品の欠陥、リコールなど、信頼性を失墜する事故が経営に大きな影響を与える事にもつながります。また、金融サービスや旅行業界などサービス業においても、サービス内容の欠陥が原因で会社の信頼を大きく損失させることもあります。

社員・役員による不祥事

万引きや横領、賄賂や不正な現金授受など、たった一人の役員や社員が犯した不祥事が原因で、会社の信頼を大きく失墜する事件も数多く見られます。基本的に個人の問題とはいえ、その人が所属する企業イメージの低化は避けられません。

個人情報・機密情報漏えい

個人情報を多く扱う企業の場合、情報流出・漏えいは会社の信頼をに大きく失墜させます。また取引先企業の機密情報などの漏洩も会社のイメージを貶めます。

例えば資料の入ったパソコンやタブレットを紛失し、そこから情報が流出することで大きな損失を与えるばかりか、自社の信用も失墜させることも考えられます。

ブランド毀損が企業に与えるもの

信頼を失うばかりか刑事事件に発展することも

ブランドのイメージダウンは、売上の減少や経営悪化ばかりか、社会的信用の失墜や社内のモラル低下といったことも起こり得ます。

そして時には、行政指導で業務停止や刑事責任が生じる場合もあります。

行政からの指導                                                      社会的な影響が大きいとなれば、行政から業務停止や免許剥奪といった指導もあるでしょうし、刑事責任(懲役、罰金)、損害賠償責任などを問われることも考えられます。
社会的信用の低下ブランドイメージの失墜だけならともかく、売上の減少も考えられますし、株価暴落、顧客からの取引停止、営業機会の損失といった業績悪化の一因につながる恐れもあります。
売上の減少・業績悪化顧客からの信頼を失えば取引停止になることもあります。営業機会の損失により、売上の減少や業績悪化につながることも考えられます。
対策費用の増大自社製品・サービスが消費者に損害を与える事態になれば、見舞金・謝罪費など対策費用も生じます。
社内のモラル低下目線を社内に向けると、社員に不安や不満が生じるだけでなく、社員のモラルの低下が別の事件を発生させるといった負の連鎖も起こりかねません。

企業ブランド毀損の12の事例|ブランド毀損がもたらした企業の損失

企業のブランド毀損事件や事故などの事例と、その事例が企業がどれだけの被害を与えたのか、実際に起きた事例をまとめました。

【外的要因については、こちらもお読み下さい】

1. 電通:従業員の過労死(自殺)

【遺族からの損害賠償請求や、取引停止の企業も】

長時間労働が原因で社員が自殺した電通の事件。事態は厚生労働省の強制捜査にまで発展しました。

電通は1991年にも、今回のケースと同様の長時間労働が原因とされる自殺事件が起きており、社員に対する安全配慮義務を怠ったとして損害賠償請求を起こされています。このときの裁判では、電通が遺族に1億6800万円の賠償金を支払うことで2000年に結審しました。

また社会に対しての影響も大きく、今回の件でも取引停止を申し出た企業が続出するなど、かなりの損害額が生じるとみられています。

参照:訴訟急増! 会社経営のリスクに立ち向かうには

2. 雪印:集団食中毒・牛肉偽装

【安全管理の怠慢と補助金詐欺事件】

2000年、雪印乳業(現:雪印メグミルク)の低脂肪乳を飲んだ消費者が嘔吐や下痢などを起こした集団食中毒事件。スーパーなどから雪印商品が撤去されるなど、ブランドイメージを大きく損ねる事件でしたが、その翌年(2001年)には子会社の雪印食品がBSE(狂牛病)にかかった牛肉を国産牛と偽って販売。農林水産省に買い取り費用を不正請求する補助金詐取事件が発覚し、後に会社清算へと追い込まれました。

参照:訴訟急増! 会社経営のリスクに立ち向かうには

3. マクドナルド:異物混入問題

【消費期限切れ問題から続いた負の連鎖】

2014年、マクドナルドの中国工場で期限切れ鶏肉を使用していたことが発覚。これが端を発し、その後もフライドポテトから人の歯が見つかる、デザートにプラスチック片が入っているなど異物混入事件が続出。安全管理が社会的問題にまで発展し、ブランドイメージを大きく失墜させました。マクドナルドは、2016年に300億円を超える赤字を計上しています。

参照:訴訟急増! 会社経営のリスクに立ち向かうには

4. 大塚家具、お家騒動

経営方針の違いが表面化し、ブランド低下に

同族経営のブランド家具店・大塚家具で起きた、経営方針を巡る内部対立問題。2009年に社長就任した娘の取った方針に、実の父である創業者が不満を抱き娘を解任。その後も親子間の経営対立は続き、2016年に娘が再び社長就任することで決着したものの、ブランドイメージの低下をもたらし、来店客数の減少や店舗縮小などの影響は続いています。

参照:訴訟急増! 会社経営のリスクに立ち向かうには

5. 東洋ゴム工業、性能偽装問題

繰り返されるデータ偽装と不正で赤字転落

2007年、断熱パネルの性能を偽装していたことが発覚。さらに2015年には、免震機構に用いられるゴム製部品についても性能データを偽装。その後もシートリング検査に関する不正が問題視されるなど、繰り返される偽装と不正が原因で社会的な信頼を失墜し、営業利益は大幅に減少。2016年度の決済では赤字に転落しました。

参照:訴訟急増! 会社経営のリスクに立ち向かうには

6. 東芝不正会計問題

累計2,000億円以上の水増し、旧経営陣に損害賠償請求

7年間で累計2,000億円を超える利益の水増しをおこなった、東芝の不正会計問題。事件発覚後、株価が暴落し投資家に損失を与えたほか、金融庁は約73億円の課徴金納付命令を出しました。現在、会社側は旧経営陣に対して損害賠償請求の訴訟を起こしています。

参照:訴訟急増! 会社経営のリスクに立ち向かうには

7. 株式会社てるみくらぶ:不正会計

【料金支払い済み旅行者に被害が発生、その数は数万人規模に

当時、格安の旅行ツアーサービスに多くの利用客から人気を集めていた「株式会社てるみくらぶ」が、2017年3月、東京地裁に破産申立を行うその直前まで、約75億円にものぼる債務超過を隠蔽したまま、営業を続けていました。

決算書の数値を不正に操作して赤字を隠し続けた法令違反(コンプライアンス違反)により、数万人もの消費者に被害をもたらした事件となりました。

被害は、宿泊費や交通費等の旅行代金を既に同社を通じて支払っていた消費者は、旅行先の海外ホテル等で突如として更なる支払いを求められるなどの事態に発展。同社の企業名は現在でも、コンプライアンス違反の大事件をもたらした会社として記憶されています。

参照:訴訟急増! 会社経営のリスクに立ち向かうには

8. 三菱自動車:三菱自動車事件

車両不具合を隠蔽し、死亡事故にも発展

「三菱自動車工業株式会社」は、2000年および2004年にリコールが必要である車両の不具合を隠蔽したことにより、結果、2件の死亡事故に発展。道路運送車両法違反、業務上過失致死傷罪で有罪判決を受けることになりました。

しかし、「三菱自動車工業株式会社」はその後も自社が設計した車両の不具合の隠蔽を続けます。2005年にはエンジンオイルが漏れるという不具合を把握しながら、リコールの届け出を5年以上先送り。国土交通省から立入検査を受けることにまで発展しました。2016年には燃費データの偽装も発覚しています。

このような「三菱自動車工業株式会社」の度重なる不正は、企業イメージを失墜させ、やがては日産・ルノーグループに、傘下として編入。経営再建を目指すことになりました。

参照:訴訟急増! 会社経営のリスクに立ち向かうには

9. 株式会社ルキオ:不正受給事件

東日本大震災の復興を支援する助成金を不正に受給

大型プリンターの製造や販売を手がける「株式会社ルキオ」は、2016年11月、東日本大震災の復興を支援する助成金「ふくしま産業復興企業立地補助金」を不正に受給するために、福島県の南相馬市に新設する工場に関して納入業者に虚偽の書類を作成させたことが発覚しました。これにより、福島県および南相馬市は「株式会社ルキオ」に対して、不正に受け取った6億2,700万円の返還を命令したことはもちろん、福島県警に同社を告発しています。その後、「株式会社ルキオ」は当然ながら企業としての信用を失い資金繰りが悪化、2017年に約20億円もの負債を抱えて事業停止となりました。

参照:訴訟急増! 会社経営のリスクに立ち向かうには

10. 藤崎金属株式会社:不正会計事件

社長交代によって大規模な不正会計が発覚

昭和25年に創業した商社「藤崎金属株式会社」は、ピーク時には売上高が約50億円にものぼるなど、大企業として発展。しかし、リーマンショック後に経営が低迷し、社長が急死したことによって、新たにその娘が社長に就任すると、それまで不正会計が行われていたことが突如として発覚しました。

会計における不正は虚偽の黒字報告で、決済時期をずらしたり、在庫商品の過大評価等が行われていたのです。 新しい社長は、赤字計上を行い不正をただしました。そうして金融機関や取引先等に支援を求めましたが、しかし助けを受けることはできず、2016年10月に、東京地裁に破産申立を行いました。

不正会計は大企業においても珍しくないどころか、それによって破産、倒産にいたることになります。

参照:訴訟急増! 会社経営のリスクに立ち向かうには

11. 株式会社エヌ・ビー・ラボ:介護報酬の不正受給

介護報酬の不正受給が発覚し、破産申立へ

サービス付き高齢者住宅を供給していた「株式会社エヌ・ビー・ラボ」は、総社員数800人、100以上もの事業施設を開設するなど好調な経営を行なっていましたが、介護報酬を水増しして請求していた事実が発覚すると、介護保険施設の指定を取り消され、2017年3月には東京地裁から破産開始決定を受けることになりました。もちろん、水増し請求発覚によって信用が悪化したことが原因で、最終的に「株式会社エヌ・ビー・ラボ」は事業施設を全て手放したことはもちろん、約14億円もの負債を残して破産しています。

参照:訴訟急増! 会社経営のリスクに立ち向かうには

12. 株式会社フーズ・フォーラス:ユッケ食中毒事件

生肉の加工処理に問題があり、食中毒で死亡した人も

2011年4月、主に富山県で複数の焼肉店等を展開していた「株式会社フーズ・フォーラス」が提供していた、ユッケなどの生肉による食中毒事件は、当時、大きなニュースとなりました。100人以上が食中毒の症状になり、うち5人が死亡する大事件にまで発展しています。同社の社長および社員は、業務上過失致死傷罪の疑いで書類送検。嫌疑不十分で不起訴処分となりましたが、「株式会社フーズ・フォーラス」は結局、全店舗の営業を停止してから再開することができず廃業となっています。食中毒の原因となった生肉の処理について、当時から厚生労働省が通知していた処理を行なっていなかったことが発覚するなど、経営者の責任が問われ、事件以降は生食用の肉類の一部が販売禁止になるなどの影響もでました。

参照:ひかり綜合法律事務所

まとめ:ブランド毀損で経営者が負う責任とは

まずは説明責任を。法的責任に問われることもある

ブランド毀損の原因により異なりますが、不祥事によって社員や顧客、株主など利害関係者に対して何らかの損失を与えたた場合、経営者として十分な説明責任を果たす必要があります。

できるだけ早期に説明責任を果たし丁寧な対応することで、企業が被る損害額を最小限に抑える可能性もあるます。

もちろん、説明責任だけでは問題が収拾するとは言えません。
経営者として監督義務の任務怠慢、故意や過失がある場合には、経営者が法的責任を負わなければなりません。

これまでの最高裁の判例を見ると、経営者が社内のコンプライアンスを定め、誠実に実行していれば任務懈怠責任を問われることはありません。

しかし、コンプライアンスの構築などを他人任せにしていたり、コンプライアンスに違反する行為をしたりすれば、任務懈怠責任を問われ追及されることになります。

早い段階で企業法務に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

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