コーヒーのブランディングで成功する秘訣をご紹介
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- ブランディング/PR
缶コーヒーから本格的なコーヒーショップまで、私たちの生活にはコーヒーが欠かせません。それほどまでに需要が多いコーヒーですが、近年では供給過多になっており、コーヒーメーカーやショップ経営者は競争の真っ只中。
そんなコーヒー業界で働く人におすすめなのがブランディングです。ブランディングによって付加価値を付けたり自社のイメージをアップさせることができれば、他社との差別化が可能になります。
そこでこの記事では、コーヒーのブランディングについて解説していきます。
なお、ブランディングそのものについて詳しく知りたい方はコチラをご覧ください。
ブランディングとは
ブランディングとは『消費者に共通のイメージを持たせ、そのイメージを可能な限り多くの人に持ってもらうこと』です。
いわば広告戦略の一つで、ブランディングがしっかりできていれば消費者から選ばれやすく、また、価格競争に巻き込まれることもありません。「高い」と言われる一方で、「○○を買うならやっぱりあそこ」と最初から指名されることもあります。
一流と呼ばれるブランド・企業の多くがこのブランディングに力を入れており、成功すれば価格を保ったまま末永く消費者から愛されることになるのです。
ブランディングの成功事例
ブランディングに成功した事例としては、次のようなものが挙げられます。
- ルイ・ヴィトン
- Apple
ルイ・ヴィトン
老若男女を問わず、ルイ・ヴィトンの愛用者は世界中に大勢います。非常に高価ではありますが、バッグや財布などでファーストチョイスになりやすいのも事実。それはルイ・ヴィトンが『高級感』というブランディングに力を入れてきたからです。
実際、ルイ・ヴィトンは割引セールやバーゲンの類を一切行いません。シーズンオフに売れ残っているアイテムは多々あるのですが、定番商品以外はすべて廃棄。
「もったいない」「それならバーゲンで売った方が…」と思うかもしれませんが、あえて廃棄することで値崩れや買い控えを防ぎ、愛用者に『高級感』を与えているのです。
Apple
Appleもブランディングに長けた企業です。その代表例がiPhone。他社のスマートフォンと比べると明らかに高いのに、機能的にはほとんど変わりません。
そのような製品は本来なら売れないはずですが、「スマートフォン買うならiPhone」と考える人は大勢います。それはiPhoneのデザインが素晴らしく、どこか遊び心をもっているから。
この点が消費者に受け入れられたため、高い価格のままでも業界シェアを保っているのです。
また、スマートフォンを世に広めた立役者でもあります。
ブランディングに失敗すると客離れがおきる
ルイ・ヴィトンやAppleのようにブランディングに成功した企業がある一方で、ブランディングに失敗した企業もあります。
ブランディングに失敗すると長い年月をかけて獲得してきた愛用者を失うことになりかねません。
その主な原因となるのが次の3つです。
- イメージキャラクターの選定ミス
- 商品・サービスの価格帯変更
- 不祥事
イメージキャラクターの選定ミス
ブランディングの柱として起用されるのがイメージキャラクターです。ターゲット層に人気のある同世代の人物でブランドイメージに合った人を選ぶのが基本。あるいはイメージキャラクターの話題性ありきで選ぶ場合もあります。
いずれにせよイメージキャラクターの人選が大事なのですが、人選ミスをすると愛用者が離れていってしまいます。その最たる例がブルガリ。
30~40代向けのハイブランドというブランディングで成功していた同社ですが、2018年に当時15歳だったモデルのkokiさんをアンバサダーに指名。
その結果、ネット上には「ブルガリの高級感がなくなった」「誰に売りたいのか分からない」「もう買わない」などといった不満コメントが大量に書き込まれてしまったのです。(kiokiさんが悪いわけではありません)
商品・サービスの価格帯変更
商品・サービスの価格帯変更はそれまでブランディングしてきたイメージを崩すことになります。それで新しい愛用者を獲得できれば成功なのですが、なかには『迷走』と揶揄され、結果が伴わないこともあります。
例えば大塚家具。以前の大塚家具は会員制で高価格な家具を販売していました。それゆえ大塚家具で家具を買い揃えることがお金持ちのステータスでもあったわけですが・・・
2015年に社長が交代してからは低価格路線に変更。新たな顧客を一定数獲得できたものの、ブランドから高級感がなくなってしまったため従来の顧客が離れてしまったのです。
結果、業績の悪化が加速し、2022年の時点ではヤマダ電機に買収されています。
不祥事
ブランディングとはイメージ作りですから、イメージの構築と共にイメージの崩壊を防ぐことも考えなければなりません。その意味で大事なのが不祥事を起こさないこと。順調だったブランディングがたった一つの不祥事で台無しになることは多々あります。
例えば芸能人。ある意味、芸能人はもっともブランディングを必要とする人達です。どのようなキャラ設定にし、誰をターゲットに売り出していくか。これらの点をしっかりと考え、自身のイメージを固めていくことで人気が出ます。
所属事務所も多額の投資を行い、本人との二人三脚でブランディングを行うわけですが、SNS上での不適切な発言や週刊誌によるスクープで全てを失うことも。
それまでの努力と投資が無駄になりかねないので、イメージを守るというのも大切なブランディングの作業といえるのです。
コーヒーのブランディングはどうすべきか?
ご紹介してきたように、商品・サービスにとってブランディングは非常に大事です。とくに競合他社の多い業界では、ブランディングによってどう差別化していくかが生き残りのカギとなります。
では、本記事のテーマである『コーヒーのブランディング』はどうすべきなのでしょうか?
現在コーヒー業界に存在するブランディングの方向性は次の4つ。
そのどれかを選択し、付加価値やオリジナリティを見出すことこそ、コーヒー業界で成功する近道だと思われます。
- 高級路線
- カジュアル路線
- 低価格・お手軽路線
- 新ジャンル路線
高級路線
コーヒーは嗜好品ですから、少々高くても愛好家には売れます。事実、昔ながらの喫茶店のなかには、1杯800~1,000円ほどで販売しているところも。
また、高級品を扱うスーパーに行くと、無農薬や有機栽培、特殊な焙煎方法などで作られたコーヒー豆が一般的なコーヒー豆の倍以上の値段で売られています。
無論、その値段に見合った味や香りがあってこそですが、ブランディングの方向としては王道です。
カジュアル路線
一昔前まで、喫茶店といえばいわゆるオールド喫茶しかありませんでした。中高年層の利用者が多く、10~20代の女性には近寄りがたい場所だったのですが・・・
現在では紙のカップにいれてテイクアウトするシアトルスタイル(スターバックスやエクセルシオールなど)がすっかり定着。メニューはオールド喫茶にみられるような豆の種類にこだわったものではなく、トッピングやフレーバーを工夫する形になっています。
1杯あたり数百円とそこそこの価格で販売できるため、店舗側はしっかりと利益を確保できることでしょう。
低価格・お手軽路線
高級路線とは真逆で低価格・お手軽路線でブランディングするという方法もあります。そのもっともメジャーな例がコンビニのセブンイレブンで売られているセブンコーヒー。
シアトルスタイルであるという点はカジュアル路線なのですが、価格は一般的なコーヒーショップの半分以下。にもかかわらず味が良く、サービス開始からあっという間に定着しました。
「手軽にコーヒーの味を楽しみたい」というを狙うには大変良い方法です。
新ジャンル路線
時代が変われば必ず新しいジャンルが登場します。コーヒーの場合は、味や香り以外に飲み方も工夫できるため、新しいジャンルが生まれる余地は十分。
また、昨今ではコーヒーではなくスィーツや軽食をメインに据え、セットでコーヒーを売ることに注力している喫茶店・コーヒーショップも多々あります。
かつてのシアトルスタイルがそうだったように、ブランディング次第ではブームの先駆者になれるかもしれません。
高級路線ブランディングのメリットとデメリット
高級路線はどんな業界のどんな企業であれ一度は検討するはず。前述したルイ・ヴィトンのようになれれば、企業として末永く安泰です。
とはいえ、そんな高級路線のブランディングにもメリットとデメリットがあります。
メリット
高級路線のメリットは何と言っても利益額が多いこと。原価に少々コストをかけたとしても利益を大きくとることができます。
日本人のコーヒー消費量が急に2~3倍になるとは考えにくいので、コーヒー1杯から少しでも多くの利益をとる体質の方が有利なのです。
また、多売する必要がないので、小規模のメーカーやショップには適した路線といえます。
デメリット
高級路線のデメリットはブランディングそのものにお金がかかること。ショップなら店舗の内装やカップ、店員の服装、メーカーなら包装紙や広告などにおいてチープなものは許されません。
また、末端価格が高いため、「お値段なりの価値がある」と世間から認知されるまでは売上が伸びない傾向があります。
よって、リスクを負いつつも初期投資に力を入れなければならないのです。
カジュアル路線ブランディングのメリットとデメリット
昨今のコーヒーショップでもっとも多いのがカジュアル路線です。
一部の本格的なコーヒー愛好家には物足りないと思いますが、一般的なコーヒー好きには十分な味と満足度を提供できます。
メリット
カジュアル路線のメリットはブランディングが比較的容易だということ。消費者の多くがコーヒーショップに対してカジュアルなイメージをもっているので、あえて強調する必要がないのです。
それゆえ、立地を間違わなければ平均的な価格とありがちな内装でそこそこの利益が望めます。平均的な価格帯向けに製造されたコーヒー豆はたくさんあるので、仕入れに困ることもありません。
さらに、居抜き物件もたくさんあるので、新規開業を考えている人にはハードルの低いブランディング路線といえます。
デメリット
カジュアル路線のデメリットは大きな利益が望めないということ。平均的な価格で平均的な物を売るわけですから、利益も平均の範囲を超えません。
よって、ショップ側がそれ以上の利益を望むなら、コーヒー以外のアイテムが必須。ロールケーキやオムライス、カレーライスなどを開発して販売している店が多く、そこに対するブランディングが必要になります。
この差別化をどうするかで店の将来が大きく変わってくるのです。
低価格・お手軽路線ブランディングのメリットとデメリット
いつの世も、庶民の頭の中には「安くて良いものを買いたい」という願望があります。
そんな消費者の願望を的確に捉えているのが低価格・お手軽路線。それは100円ショップ業界が急成長したことからも分かります。
メリット
低価格・お手軽路線は話題になりやすく、テレビや雑誌を通してブランディングしやすいのが特徴です。
どのメディアも良質な情報を求めているので、「美味しいコーヒーがたったの○○円!」といった内容でブランディングしていけば、多くのメディアが取材にやってきます。(一部のメディアは有料)
また、SNSでもバズりやすく、サービス開始後すぐに多くの顧客を抱えることになります。
デメリット
低価格で販売することの最大の難点は利益が少ないこと。利益を確保するには原価を下げるしかないのですが、それには頻繁かつ大量に仕入れることが条件となります。
また、とにかく多売しなければならないため、回転率や席数はかなりのレベルが必要。
そう考えると、ある程度の資金力をもった企業向けのブランディングといえます。
新ジャンル路線ブランディングのメリットとデメリット
新ジャンルのブランディングは非常に難しいのですが、当たったときは圧倒的な利益がでます。
独創的な発想と的確なブランディングがあれば、シアトルスタイルに変わる新しいコーヒーの楽しみ方を確立することができるかもしれません。
メリット
新ジャンルの開拓に取り組むメリットは競合他社がいないということ。
価格設定も比較的自由なので、経営者のイメージを存分に取り入れた運営ができます。
デメリット
デメリットは何といってもブランディングの難しさ。目新しいということはまったく認知されていないということであり、「そもそもこのコーヒーは…」という前置きの段階からブランディングしていかなければなりません。
また、目新しいからといって必ずしも反響があるわけではなく、誰にも認知されないまま倒産ということも。
それゆえ、ブランディングによって、新ジャンルならではのとっつきにくさを解消する必要があります。
コーヒー業界で勝ち残るには的確なブランディングが必要
この記事では、コーヒーのブランディングについてご紹介しました。いくつかの方向性が考えられますが、どれを選択するかは自社の規模や体力次第です。
まずは自社でできることを考え、それに見合った適切なブランディングを行っていけば、供給過多のコーヒー業界においても勝ち残れるはず。
経営者のセンスと知識が問われる部分でもあるので、しっかりブランディングを勉強してから取り組むようにしましょう。
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